マットレスを選ぶ際に、硬さの基準として「ニュートン(N)」という単位が使われることがよくあります。ニュートンはウレタンフォームの硬さを示す指標です。
実際にどのニュートン値が自分に合っているかを知ることは、質の良い睡眠に大きな影響を与えます。この記事では、体重や体型、さらには使用目的に合わせた最適なニュートンの選び方について詳しく解説します。あなたにぴったりのマットレス選びの参考にしてみてください。
マットレスのニュートン(N)とは?
マットレスのニュートン(N)とは、ウレタンフォームの硬さを表す指標です。まったく無関係ではありませんが、弾力性(反発力)を表す反発弾性率とは別物の指標となります。
一般的に、この数値が大きいほど硬いマットレス、小さいほど柔らかいマットレスとされ、ウレタンマットレスを選ぶ際に、このニュートン値が目安となることが多いです。
ニュートンはウレタンフォームでしか使われない指標ですね。
ニュートンは物理的な力の単位で、1ニュートンは約100gの物体に働く力です。マットレスにおいては、人が横になったときに、どれだけの力で体を支えるかを計算しやすくするために使われています。しかし、実際に選ぶ際には、体重や好みにも影響されるため、ニュートンだけに頼らないことが大切です。
ニュートンの計測方法
ウレタンフォームの硬さを測定する際の代表的な規格は、JIS K 6400-2(日本工業規格)に基づきます。この規格では、ウレタンフォームを50%圧縮したときの荷重(ニュートン)が硬さの指標として使われます。
試験は通常、10cmの厚さの試料に直径50cmの円盤を使用し、圧縮速度や条件が詳細に定められています。この規格に従うことで、製品の硬さや品質が均一に評価されます。
体重によってマットレスの硬さを変える理由
体重が異なると、マットレスにかかる圧力も異なるため、体重に合わせた硬さを選ぶことが重要です。軽い体重の人は、硬すぎるマットレスだと体が十分に沈まず、リラックスできません。一方、重い体重の人が柔らかいマットレスを使用すると、沈み込みすぎて体が支えられず、姿勢が崩れてしまいます。
そのため、体重に応じて適切なニュートン値のマットレスを選ぶことで、体圧を均等に分散し、理想的な寝姿勢を維持できます。その結果、腰痛や肩こりなどの症状を防ぐことができ、質の良い睡眠が期待できます。
体型や目的別ニュートンの選び方
人それぞれ体型や睡眠に求める効果が異なるため、ニュートン値の選び方にも個別のアプローチが必要です。ここでは、体型や使用目的に応じたニュートン値の目安をご紹介します。以下を参考に、自分に合ったマットレスを見つけましょう。
体重や目的 | ニュートン値(目安) |
---|---|
軽めの体重 (50kg以下) | 80Nから100N程度 |
標準体型 (50~80kg) | 100Nから150N |
重ための体重 (80kg~100kg) | 150Nから200N |
さらに重ための体重 (100kg以上) | 200N以上 |
子供 | 80Nから100N |
腰痛 | 120Nから160N |
横向き寝を好む | 100N~120N |
【50kg以下】軽い体重の方に適したニュートン値
体重が軽い方には、柔らかめのマットレスが向いています。目安としては、80Nから100N程度が理想的です。この範囲のニュートン値は、体がマットレスに自然に沈み込み、体圧を均等に分散させるため、快適な睡眠環境を提供します。
軽い方が硬いマットレスを選んでしまうと、体が十分に沈まず、圧力が一点に集中しやすくなります。その結果、肩や腰に負担がかかり、睡眠中の体のリラックスが妨げられてしまいます。適度に沈む柔らかさが、軽い体重の方には重要です。
【50~80kg】標準体重の方におすすめのニュートン値
標準体重の方には、100Nから150Nのマットレスが一般的に推奨されます。この範囲の硬さは、体をしっかりと支えつつ、適度な沈み込みがあるため、バランスの取れた寝心地が得られます。
特に、仰向けや横向きに寝る人には、このニュートン値のマットレスが適していると言われています。体全体を均等に支えることで、肩や腰への負担を減らし、質の良い睡眠をサポートします。
【80kg~100kg】重い体重の方に最適なニュートン値
重い体重の方は、150Nから200Nの硬めのマットレスを選ぶのがおすすめです。体重がかかる部分での沈み込みを防ぎ、しっかりとしたサポートを提供します。この硬さがあれば、体圧が分散され、体が沈み込みすぎることなく安定した姿勢を保つことができます。
特に体重が多い方は、柔らかすぎるマットレスだと腰や背中に負担がかかりやすくなるため、硬めのマットレスでしっかりと体を支えることが重要です。
子供に最適なニュートン値
子供には、柔らかすぎず、硬すぎないマットレスが推奨されます。一般的には80Nから100N程度が適しているとされています。子供の成長期には、適切な寝姿勢をサポートするために、体重に合ったマットレスが重要です。
子供の骨や筋肉はまだ発展段階にあるため、適度なサポートが必要です。硬すぎると体に負担がかかり、柔らかすぎると沈み込みすぎて背骨の成長に悪影響を与える可能性があります。ニュートン値の目安を参考に、バランスの取れたマットレスを選びましょう。
腰痛に最適なニュートン値
腰痛を抱える方には、硬めのマットレスが一般的に推奨されます。腰をしっかり支えるためには、120Nから160N程度のマットレスが最適です。この硬さは、腰部分の沈み込みを防ぎ、理想的な寝姿勢を保つために役立ちます。
また、腰痛の方は仰向けで寝ることが多いため、全身を均等に支えることができる硬めのマットレスを選ぶと良いでしょう。ただし、硬すぎると体に負担がかかることもあるので、自分の体にフィットする硬さを見つけることが大切です。
横向き寝を好む方に最適なニュートン値
横向き寝を好む方は、腰や肩のでっぱりに対して圧迫感が少ない寝心地がおすすめ。100Nから120N程度の適度なフィット感があるマットレスだと、長時間横向きで寝ても、圧迫による血流悪化や痺れなどを避けられやすいです。
ニュートンの値があまり参考にならないタイプのマットレスがある
ニュートンは硬さを表すため、ウレタンマットレス選びの参考のひとつとして知っておくべき数値です。しかしながら、「多層構造のマットレス」や「凹凸プロファイルウレタン」では、その値があまり参考にならないことも頭に入れておく必要があります。
多層構造のマットレスは、複数の硬さや素材を組み合わせているため、ウレタンフォーム単体の硬さ(ニュートン)を知ったところで、数値通りにはいかずに実際の寝心地との乖離が発生します。
凹凸プロファイルウレタンの場合は、高いニュートン値でも、比較的柔らかいような感触になります。そのため、あえて高いニュートン値で作られていることが多いのです。例えば、180Nや200Nだとしても、体感では150N前後の硬さに感じやすいです。
そのため、上記のようなタイプのマットレスを検討している場合、やはりあくまでも参考値の域に過ぎないことがいえるでしょう。
ニュートンに関わるよくある質問
ニュートン値について疑問を持つ方は多いです。よくある質問には、「自分の体型にどのニュートン値が適しているのか」や、「ニュートン値以外に重要なポイントは何か」などが挙げられます。
ニュートン(N)はあくまでも目安にしよう
ニュートン値は、マットレスの硬さをある程度示してはいますが、それだけでは十分な指標にはなりません。個々の好みや体調、さらには寝姿勢によって適した硬さは変わるため、あくまでも参考として利用するのが良いでしょう。
例えば、同じニュートン値でも素材や構造が違えば、感じる硬さは異なります。また、個々の体感にも違いがあるため、実際に店舗で寝心地を試してみることが最も確実な選び方となります。
最終的には、自分の好みや体感に合わせて選ぶことがポイント。ニュートン値を目安にしつつ、実際に試して最適なマットレスを見つけて、質の高い睡眠を手に入れましょう。
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