オンライン診療でもらった診断書について、「会社に提出しても有効なの?」「オンラインだと信用してもらえないのでは?」と不安に感じる方もいるでしょう。
結論からいうと、医師が適切にオンライン診療を行ったうえで発行した診断書が、オンライン診療という理由だけで効力を失うわけではありません。
ただし、診断書として成立していることと、勤務先がそのまま受理することは別です。
会社指定の様式がある、原本提出を求められる、必要な記載事項が決められているなどの場合は、オンライン診療で発行された診断書でもその条件を満たす必要があります。
PDFや押印の扱いについても一律ではないため、発行を依頼する前に勤務先のルールを確認しておくとスムーズです。
オンライン診療の診断書にも効力はある
まず押さえておきたいのは、オンライン診療も医師が診察・診断を行う診療方法のひとつだということです。
厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、オンライン診療について次のように定義されています。
「患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為」
出典:厚生労働省|オンライン診療の適切な実施に関する指針「https://www.mhlw.go.jp/content/001685701.pdf」
つまり、単なるチャット相談や健康相談とは異なり、医師が患者の状態を確認して診察・診断を行う医療行為です。
そのため、適切なオンライン診療を経て医師が発行した診断書について、「オンラインで受診したから診断書として無効」という扱いになるわけではありません。
ただし、オンライン診療では対面と比べて得られる情報に限りがあります。オンラインだけでは適切な診断が難しいと医師が判断した場合には、対面診療が必要になることがあります。
診察を受けずに診断書だけ発行してもらうことはできない
オンラインであれば、簡単な問診だけで診断書を発行してもらえると思う方もいるかもしれません。
しかし、診断書だけを医師に依頼して発行してもらうことはできません。
医師法第20条では、次のように定められています。
「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付」してはならない
出典:e-Gov法令検索|医師法「https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201」
また、医師法第19条では、診察した医師に診断書の交付を求めた場合、正当な事由がなければ拒んではならない旨も定められています。
ポイントは、対面かオンラインかではなく、医師自身が診察したうえで医学的に判断しているかです。
オンライン診療を受けても、希望すれば必ず診断書が発行されるという意味ではありません。診察の結果、診断書を作成できるだけの情報が得られない場合や、対面での診察・検査が必要だと医師が判断した場合には、その場で発行されない可能性があります。
オンライン診療の診断書を会社で使えるケース
オンライン診療で発行された診断書でも、会社が求める内容や提出方法を満たしていれば、勤務先への提出に利用できます。
たとえば、会社から「医師の診断書を提出してください」と求められ、特定の医療機関や診療方法について指定がなく、オンライン診療で発行された診断書に必要事項が記載されているケースです。
休職などで利用する場合には、勤務先によって次のような情報を求められることがあります。
- 病名や現在の状態
- 療養が必要であること
- 必要と考えられる療養期間
- 就業上必要となる配慮
- 医療機関名や医師名
何を記載する必要があるかは一律ではありません。会社指定の書式がある場合は、その書式を診察時に医師へ提示した方がよいでしょう。
休職できるかは診断書だけで決まるわけではない
特に勘違いしやすいのが、「医師から休養が必要という診断書をもらえば、自動的に休職が成立する」というわけではないことです。
厚生労働省の「メンタルヘルス不調者の主治医向け支援マニュアル」では、病気休業診断書や復職診断書について、
「勤務先の決定に際して考慮される情報」
出典:厚生労働省|メンタルヘルス不調者の主治医向け支援マニュアル「https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001671865.pdf」
と位置づけています。勤務先の規程やルールを確認することも望ましいとされています。
つまり、医師は「医学的に休養が必要か」を判断しますが、会社の休職制度をどのように適用するかは、就業規則や社内制度なども関係します。
診断書に効力がないという話ではなく、診断書は会社が休職などを判断するための重要な医学的情報のひとつと考えるのが適切です。
オンライン診療の診断書を使って実際に休職する場合の流れや、医師と会社の役割の違いについては「オンライン診療の診断書だけで休職できる?会社提出から休職開始まで」で詳しく紹介しています。
オンライン診療の診断書が会社で使えないケース
オンライン診療で発行された診断書自体に問題がなくても、勤務先でそのまま使えないケースがあります。
代表的なのが、会社側が指定する条件を満たしていない場合です。
会社指定の診断書がある
会社によっては、休職や復職の手続きで独自の診断書や意見書を用意していることがあります。
医療機関の一般的な診断書を先に発行してもらうと、「こちらの用紙で書き直してください」と言われ、再発行が必要になる可能性があります。
診断書の発行には費用がかかることもあるため、休職目的の場合は先に人事・労務担当者へ指定様式の有無を確認しておくと安心です。
必要な内容が書かれていない
「○○と診断する」と病名だけ記載された診断書では、会社側が知りたい情報が不足する場合もあります。
たとえば休職手続きであれば、「一定期間の休養が必要」という医師の医学的判断や、その期間が必要になるケースがあります。
診察を受ける際に、
「勤務先へ提出する診断書が必要です」
と医師へ伝え、会社から指定された記載事項がある場合にはあわせて伝えましょう。
オンラインだけでは診断が難しいと判断された
オンライン診療では触診や検査をその場で行えません。
そのため、医師がオンラインだけで診断することが適切ではないと判断した場合には、対面診療へ切り替えられることがあります。これはオンライン診療の診断書の効力が弱いということではなく、そもそも診断書を発行するための医学的判断が十分にできないケースです。
診断書に押印がなくても効力はある?
「オンラインでもらった診断書にハンコがないけれど大丈夫?」と気になる方もいるでしょう。
医師法第19条・第20条では、一般的な診断書について「押印がなければ診断書として無効になる」といった一律の定めは置かれていません。
ただし、これは「どの診断書でも押印不要」という意味ではありません。提出目的によっては専用様式が定められていたり、勤務先側が医師の署名・押印などを求めていたりする可能性があります。
そのため、「押印がない=診断書として無効」ではないものの、会社が受け付けるかは提出条件を確認するという考え方がわかりやすいでしょう。
PDFの診断書でも会社に提出できる?
オンライン診療では、紙の診断書を郵送するのではなく、PDFなどの電子データで受け取れる場合があります。
この場合も、PDFだから一律に無効になるわけではありません。
一方で、
- PDFをメールで提出できる
- 社内システムへアップロードする
- 一度PDFを提出し、後から原本を提出する
- 最初から紙の原本が必要
など、会社によって対応が異なる可能性があります。
「診断書として成立しているか」と「会社がPDF提出を認めているか」は別問題です。
オンライン診療でPDF発行を希望する場合には、医療機関に確認するだけでなく、勤務先にもPDFで問題ないか確認しておくと二度手間を避けられます。
診断書を発行してもらう前に会社へ確認したいこと
会社への提出を目的にオンライン診療を受けるなら、先に確認しておきたいのは主に次の3点です。
- 会社指定の診断書・様式があるか
- PDF提出でよいか、紙の原本が必要か
- 診断書に記載してほしい項目があるか
特に休職を考えている場合は、診断書だけでなく、休職開始までの手続きや産業医面談などが決められている可能性があります。
体調がつらいときに何度も診断書を取り直す負担を減らすためにも、可能であれば受診前に人事・労務担当者へ確認しておきましょう。
診断書が有効かだけでなく、「今日中に必要」という方は、即日発行の条件や受け取り方法も確認しておきましょう。
【関連記事】オンライン診療で診断書は即日発行できる?今日中に受け取るための条件
オンライン診療だから診断書の効力が弱いわけではない
オンライン診療は、医師が患者を診察・診断する正式な診療方法のひとつです。適切なオンライン診療を経て発行された診断書が、「オンラインで受診した」という理由だけで効力を失うわけではありません。
ただし、会社で実際に使えるかどうかは別です。
会社指定の様式があるのか、原本が必要なのか、PDFで提出できるのか、どのような内容を記載してもらう必要があるのかは、勤務先によって異なります。
特に休職目的で診断書を取得する場合は、「診断書が有効か」だけでなく「会社が求める条件を満たしているか」まで確認しておくことが大切です。


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