近年、リカバリーウェア市場は急速に拡大しています。一般社団法人日本リカバリー協会によると、2023年の市場規模は2019年の3.9兆円に比べて1.4倍の5.4兆円、2030年には14.1兆円になる見込みです。
そんなリカバリーウェアですが、まだまだ認知度が低いため利用したことない人は「本当に効果があるのか」と疑問に思うことが多いでしょう。正直、「効果を感じなかった」という方も一定数いるのも事実です。
この記事ではリカバリーウェアの効果が科学的に証明されているのか、効果を感じやすくする方法など「効果」に着目して解説しています。
「エビデンスがないと信じられない」という方は、特に科学的根拠についてまとめた項目をご覧いただけると、ある程度の信ぴょう性は得られると思います。
リカバリーウェアの効果とは
リカバリーウェアといわれる衣類の効果とは、主に血行が促進されることに起因するさまざまな健康効果のことを言います。
- 筋肉の回復促進
- 血流の改善
- 疲労軽減
- 快適な睡眠
- 痛みの軽減
- 温度調節
- 姿勢改善
スポーツ後の筋肉疲労回復、血流改善による冷え性予防、慢性的な関節の痛みや炎症の緩和が期待できます。それぞれの健康効果はリカバリーウェアの仕様によって異なります。
リカバリーウェアの効果についての科学的根拠
リカバリーウェアの効果は商品によって異なり、各メーカーごとに検証をおこない科学的根拠を示したうえで販売されることがほとんどです。
しかし、メーカー側は検証結果を偽装する可能性も否めず、特に知らないブランドや安いモノだと信頼性に欠けるのも事実でしょう。そこで2022年、厚生労働省は一般医療機器に新カテゴリーとして「家庭用遠赤外線血行促進用衣」を設けました。
そもそも根拠がなければリカバリーウェアとしての販売はできない
現在では、日本医療機器工業会が定めた自主基準をクリアした上で、医薬品や医療機器の承認審査を行う「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」に届け出て認定を得なければリカバリーウェアとして販売することはできません。
この基準は、体熱を伝導、吸収し遠赤外線領域の波長を放出できる機能を持たせた、血行改善を行う目的で使用する布形状の医療機器を対象とする。
一般社団法人日本医療機器工業会の作成した「家庭用遠赤外線血行促進用衣自主基準」
外観、形状、赤外線放射特製、性能、化学的要求事項、生物学的要求事項、安定性、耐久性、包装や表示まで厳しい基準をクリアする必要があります。
効果に関わる基準については以下のとおり記載されています。
5~20μmの波長領域において、全放射率が遠赤外線加工を施していない同一形状の対照試料に比べ、5%以上上回ること。
血行改善に関する性能を発揮できることを「附属書1」の要領に従い試験すること。
一般社団法人日本医療機器工業会の作成した「家庭用遠赤外線血行促進用衣自主基準」
リカバリーウェアは遠赤外線効果を得るものなので、赤外線放射性能が通常衣類製品に比べて5%以上上回っていること、また、血行改善の性能があるかどうかを試験で示すことが定められています。
そのため、そもそも科学的根拠や効果のないリカバリーウェアは「リカバリーウェア」として売ることはできないわけです。
逆にいえば「リカバリーウェア」として売っている、もしくは「一般医療機器」と記載されている商品は科学的根拠が証明されていて安心できる商品であるといえます。
認定制度は消費者にとっても、リカバリーウェアの信ぴょう性や市場価値を守るためにも必要な制度となっているわけですね。
リカバリーウェアの効果を感じやすい条件
どんな科学的根拠があろうとも、リカバリーウェアの効果を感じない人は一定数います。これは一般医療機器製品の特性上、仕方のないことです。
一般医療機器の定義はあくまでも「仮に不具合が生じた場合でも人体へのリスクが極めて低い」もの。認定を得ていても、その効果を100%保証するものではありません。
上記内容を理解したうえで試してみるのが前提でしょう。
しかし値段の高いリカバリーウェアですから、失敗はなるべく避けたいところ。こちらでは少しでも効果を得られるよう、考えられるリカバリーウェアの効果を感じやすい条件をまとめています。
体に不調を感じている
健康的で体のどこにも不調がなかったり、睡眠に関しても特に悩みがなければ効果を感じにくいかもしれません。リカバリーウェアは基本的に、「首肩コリが辛い」「よく眠れてない」「疲れが溜まっている」といったような悩みに対して、血行促進というアプローチによる健康サポートをおこなうものです。
そのため、元気で健康的な方には効果を感じにくく必要がないかもしれません。それでもリカバリーウェアは、リラックスを目的とした商品が多く快適な着心地なので、効果を感じにくくてもルームウェアとして使ってみるのもおすすめです。
上下セットで使用する
リカバリーウェアはトップスタイプとパンツタイプの上下で売られていることが多いです。
どちらでも効果を得られますが、トップスなら主に首肩腰、パンツなら太ももやふくらはぎなど効果範囲が異なります。そのため、上下セットで使用することで体全体の疲労回復サポートをおこなうことができ、より効果を感じやすい傾向となってます。
肌に直接触れるように着用する
リカバリーウェアの下にはインナーなど、遮蔽物がない方が遠赤外線による効果を得られやすくなります。
長期間使用する
リカバリーウェアは効果を100%保証されているような健康グッズではなく、「仮に不具合が生じたときに人体にリスクが少ないもの」です。裏を返せば、その機能性は限りなく微弱にしているともいえます。
元々が弱めの効果に設定しているわけですから、着用時間や着用期間を長くすることで効果を得られやすくなるといえるでしょう。商品によっては「1か月着用してみてください」と補足されているものもあります。
リカバリーウェアの効果はどれくらい続く?
リカバリーウェアの効果は基本的に半永久的に続くようなものです。特に使用期限はありません。着用している間は鉱物素材による遠赤外線効果を受けることができます。
また、リカバリーウェアのほとんどは繊維に鉱物を練り込んでいるようなものですが、洗濯をしても効果が落ちる心配はありません。ただし、鉱物をリカバリーウェアにプリント加工するタイプだと、そのプリントが剥がれたりこすられて薄くなったりすることで効果が薄まっていく可能性も考えられます。
運動時に着用して効果があるのは着圧タイプのリカバリーウェア
リカバリーウェアには着圧タイプと非着圧タイプがあります。一般的にリカバリーウェアというと後者の非着圧タイプのことを指します。
大きく使用シーンを分けると、着圧タイプは運動時に、非着圧タイプはリラックス時に着用することでその効果を最大限に得られるというもの。いつどんな時に使いたいのかを決めたうえで選んでみましょう。
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