発芽玄米は栄養価が高く、玄米より消化しやすい一方で、「発芽毒」という懸念も噂されています。
この記事では、発芽毒に関する嘘と真実、安全に食べる方法について科学的根拠をもって紹介しています。
玄米には外敵から身を守るための毒は実際にあるものの、発芽により減少する。また、浸水や加熱の調理工程でほとんどが無毒化される。「発芽毒」と呼ばれる成分が人体に悪影響を及ぼす証拠があるわけではない。
玄米の発芽や加熱でもなくならない毒、「無機ヒ素」については【】をご覧ください。
ゆいこ
女性/エシカルコンシェルジュ/ライター
10代後半から玄米食を実践。現在、体に優しい食について学び、資格取得に向け勉強中。「私らしくサスティナブルな暮らし」を楽しむ2児の母。エシカルコンシェルジュ取得。
発芽玄米の「発芽毒」とは?
発芽玄米の発芽毒とは、玄米が発芽する際につくられる有害物質の総称です。
玄米が動物や微生物に食べられるのを防ぐためのものと言われています。
具体的には、フィチン酸やレクチン、サポニンなどが該当します。
発芽毒が体に与える影響
発芽玄米の発芽毒と呼ばれる成分は、体にどう影響すると言われているのでしょうか。
フィチン酸:ミネラルの吸収を阻害する作用がある。抗がん・抗酸化作用のメリットも持つ。
レクチン:消化器系に影響を与える可能性があると言われている。
サポニン:サポニンは、細胞膜を破壊する可能性があると言われている。
発芽玄米の発芽毒が危険というのは嘘
発芽玄米の発芽毒が危険というのは、確かな情報ではありません。
発芽玄米に含まれるフィチン酸やレクチン、サポニンなどの毒素のほとんどは、発芽や調理の工程で除去されることが研究で明らかになっています。
・フィチン酸:発芽により30~50%減少する。
・レクチン:発芽や加熱で活性がほぼ完全に失われる。
・サポニン:発芽や精米、加熱の工程でほとんど消滅する。
参考文献:Springer Link,mdpi
発芽玄米の摂取に関するリスクはあるのか?
結論からお伝えすると、通常の食生活において問題視されるほどの影響はありません。
むしろ、発芽玄米の栄養価は高く、健康に良い影響を与えることが多いので、発芽毒の噂を心配しなくてもよいでしょう。
特定のアレルギーや消化器系に問題がある人は、摂取に際して医師と相談することが望ましいですが、一般的には発芽玄米のリスクはかなり低いと言えます。
「発芽毒」は簡単に無毒化できる
発芽玄米を安全に食べる方法は、どれも基本的なものばかりです。ですが、基本的なことほど忘れやすくもなるので、以下で再確認をしてみてください。
- 正しく調理すること
- 食べ過ぎない
- 信頼の持てる商品を選ぶ
正しく調理すること
発芽玄米の発芽毒のリスクは、正しく調理することでほとんどが解消されるものです。
おこなっていただきたい正しい調理法は以下です。
- 洗米する
- 浸水させる
- 十分に加熱する
どんなお米を炊く場合でもおこなう、とても基本的なことばかりです。
とくに、発芽玄米を十分に加熱することが必要です。
通常の炊飯器や圧力鍋で炊くことで、毒素の大部分は無害化されます。
食べ過ぎない
炊き上がった時点で、発芽玄米の発芽毒のほとんどは無毒化されますが、そもそも過剰に摂取しなければリスクも軽減できますよね。
どんなに健康に良い食品も食べ過ぎは体の負担となってしまいますよね。
発芽玄米の適切な摂取量は、体重や体質、活動量によって違います。
厚生労働省の公式資料にある1日あたりの摂取目安は、1食分のご飯を150gとして1日3~6杯です。(参考:日本人の食事摂取基準2020)
信頼を持てる商品を選ぶ
白米を選ぶときに産地やブランドを気にするように、発芽玄米を選んでみましょう。
また、有機栽培や無農薬の発芽玄米を選ぶことで、農薬や化学物質の影響を最小限に抑えることができます。
製品ラベルを確認し、品質にこだわった発芽玄米を選んでみてくださいね。
まとめ
発芽玄米の発芽毒は、正しい知識と調理法でリスクを最小限におさえることができます。
洗米や浸水、加熱などの基本的な調理をおこない、過剰摂取を避ければ、健康に悪影響はほとんどありません。
さまざまな噂があり、気になってしまわれたかと思いますが、安心して発芽玄米の栄養価と健康効果を楽しんでくださいね。
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