クリスマスの季節になると、パン屋やスーパー、セブンイレブンなどのコンビニでも見かける「シュトーレン」。独特な形や甘い風味、そして白い粉砂糖が印象的です。
この記事では、シュトーレンはそもそもどういう意味を持つのか、その魅力を探ります。
シュトーレンの食べる意味や歴史、そして日本での広まり方を解説します。このクリスマスシーズンに向けて、ぜひ最後までお読みください。
シュトーレンとはどんなお菓子?
シュトーレンは、ドイツ発祥の伝統的なクリスマス菓子です。洋酒に漬け込んだドライフルーツやナッツが練り込まれた生地を、白い粉砂糖で覆った甘いパンのようなお菓子です。
その特徴的な形は、赤ちゃんのイエス・キリストを包むおくるみを象徴していると言われています。これがシュトーレンがクリスマスシーズンに食べられる理由の一つです。
シュトーレンを食べる意味とは?クリスマスとの深い関係
シュトーレンには、ただのお菓子以上に深い意味があります。それは、クリスマスの準備期間であるアドベントに食べる習慣と密接に結びついています。
イエス・キリストの誕生を待ちながら食べる習慣
シュトーレンを食べる習慣は、イエス・キリストの誕生を待ち望むクリスチャンの祈りの一環として始まりました。このお菓子を少しずつ食べることで、アドベントの期間を楽しむ意味があります。
また、シュトーレンに使われるフルーツやナッツは、豊穣と祝福を象徴しているとされていて、イエスの誕生を祝う特別な食べ物としての意味をさらに深めています。
アドベント期間中に少しずつ食べることでクリスマスを待ち望む
シュトーレンは非常に保存性の高いお菓子で、長期間日持ちするため、クリスマスを迎える4週間のアドベント期間中に少しずつスライスして食べるのが伝統的なスタイルです。
アドベント期間を通して少しずつ楽しむことで、クリスマスへの期待感を高める役割を果たします。シュトーレンを食べるたびに、クリスマスの本番が近づいていることを感じることができるのです。
シュトーレンが保存性に優れているのは、砂糖やバターが多く含まれ、ドライフルーツやアルコールが使われているからです。焼成で水分を減らしているのもポイント。さらに、粉砂糖のコーティングが乾燥やカビを防ぎます。
白い粉砂糖が幼子イエスを包むおくるみを象徴している
シュトーレンの外側を覆う白い粉砂糖には、特別な意味があります。この粉砂糖は、幼子イエスを包むおくるみを象徴しているとされています。
また、粉砂糖の真っ白な見た目は、純潔や神聖さを表すものとも解釈されています。この白い砂糖が、シュトーレンを特別なクリスマス菓子として際立たせている要素の一つです。
粉糖は泣かない粉糖である「プードルデコール」を使用しています。手作りの際は粉糖の種類選びに気を付けてくださいね。
シュトーレンの歴史をたどってみよう
シュトーレンは非常に長い歴史を持つお菓子です。その起源から現在の形に至るまで、さまざまな変化を経てきました。このセクションでは、シュトーレンの誕生と発展の歴史を詳しく見ていきます。
14世紀のドイツ・ドレスデンで誕生
シュトーレンは14世紀にドイツのドレスデンで誕生したといわれています。当初は非常に質素なお菓子で、主に小麦粉、水、酵母といったシンプルな材料で作られていました。
しかし、その後にキリスト教の祭りで食べられる特別な菓子として認知されるようになり、少しずつ改良されていきました。
当初は質素な材料で作られていたが、後にバターの使用が許可され風味が向上
当初、シュトーレンには宗教的な理由からバターの使用が禁止されていました。しかし、ドレスデンの司教が特別に許可を出したことで、バターを使ったシュトーレンが登場しました。
バターの使用によって風味が飛躍的に向上し、シュトーレンはさらに人気のあるお菓子へと進化しました。このバター許可の歴史は、「バターの書簡(Butterbrief)」として知られています。
「バター書簡」は、インノケンティウス8世(ローマ法王)が、カトリック教会が断食期間中にバターの使用を禁じていた時代に、ドイツのドレスデンに特別な許可を与えたエピソードとして伝えられています。
ドレスデンの人々はバターを断食中に使えないことに困っており、法王に許可を求めました。これに対し、法王は寄付金を条件に断食期間中でもバターの使用を認めるお達しを出しました。この許可が後に「バター書簡」と呼ばれるようになりました。
ドレスデンの名物であるシュトーレンはバター書簡によって広まったと言われています。
参考:農林水産省
ドイツではクリスマスの贈り物として定着
ドイツでは、シュトーレンがクリスマスの贈り物として定着しています。特にドレスデンでは、毎年クリスマスマーケットで大きなシュトーレンが販売されています。
このように、シュトーレンはただの菓子ではなく、クリスマスを祝うための特別なシンボルとして人々に愛されてきました。ドイツではシュトーレンが日本でいうクリスマスケーキの立ち位置となっています。
シュトーレンが日本でクリスマスの定番になった理由
シュトーレンはドイツ発祥ですが、現在では日本でも広く親しまれています。
1969年にドイツで修行した職人が日本に紹介した
シュトーレンが日本に初めて紹介されたのは1969年のことです。ドイツで修行した福岡県の老舗菓子店「千鳥饅頭総本舗」の当時の社長、原田光博氏がドイツでの修行から持ち帰ったレシピを基に、製造・販売を開始しました。
この職人の努力により、シュトーレンは徐々に日本でも注目されるようになり、クリスマスの季節の定番となっていきました。
パン屋や製菓店での販売を通じて広まった
日本国内では、パン屋や製菓店を通じてシュトーレンが広まりました。特に、大手チェーン店での販売が普及を後押ししました。
また、シュトーレンの保存性が高い点が家庭向けにも好まれる要素となりました。多くの家庭でクリスマス前の楽しみとして取り入れられています。
日本人の味覚に合うようアレンジされ、親しまれるようになった
日本では、シュトーレンがそのままの形で受け入れられるだけでなく、日本人の味覚に合うようにアレンジされてきました。たとえば、甘さ控えめのレシピや、和の食材を取り入れたものなどがあります。
これにより、シュトーレンは日本独自のスタイルでさらに親しまれるようになり、現在ではクリスマスの風物詩となっています。
お取り寄せできるシュトーレン3選
最近では、全国どこからでもシュトーレンを楽しめるように、オンラインでお取り寄せができるお店が増えています。ドイツの伝統的な味を忠実に再現したものや、日本人の好みに合わせてアレンジされたものまで、種類も豊富です。
ここでは、お取り寄せで手軽に楽しめるおすすめのシュトーレンを3つご紹介します。贈り物や自分へのご褒美にぴったりのシュトーレンを見つけてみてください。
1. ドイツの伝統を味わえる「ドレスデンシュトーレン」
ドイツ・ドレスデン地方の伝統的なレシピで作られたシュトーレンを提供するお店があります。このシュトーレンは、洋酒漬けのドライフルーツがたっぷり使われ、深い味わいが特徴です。
特に、現地の味を忠実に再現したものは、本場のクリスマスをそのまま感じることができます。粉砂糖の香ばしさとしっとりした食感がたまりません。
お取り寄せ先としては、ドイツ食材を扱う専門店や輸入食品店のオンラインストアがおすすめです。伝統的な味を楽しみたい方にぴったりです。
2. アレンジが魅力!「和風シュトーレン」
最近では、日本の食材を活かした和風シュトーレンも人気を集めています。抹茶やきなこを使用したものや、あんこを練り込んだものなど、独特の風味が楽しめるのが魅力です。
これらのシュトーレンは甘さが控えめで、日本人の味覚に合いやすいのが特徴です。和菓子のような感覚で楽しめるので、普段洋菓子が苦手な方にもおすすめできます。
和風シュトーレンは、個人経営のパン屋や和菓子店がオンライン販売していることが多く、特別感もあるので贈り物としても喜ばれるでしょう。
3. 華やかなデザインが特徴の「ギフト向けシュトーレン」
見た目の美しさにもこだわったシュトーレンは、贈り物として特に人気があります。箱入りやリボン付きで届くものもあり、そのままプレゼントとして渡せるのが便利です。
こうしたシュトーレンは、有名な製菓店やデパートのオンラインショップで手に入れることができます。高品質な素材を使っているので、特別な日の贈り物として最適です。この冬は、気になるシュトーレンを取り寄せて、特別なクリスマスを過ごしてみてはいかがでしょうか。
シュトーレンを贈り物にしよう!
シュトーレンは、ドイツで誕生したクリスマス菓子であり、イエス・キリストの誕生を祝う深い意味を持っています。その歴史や伝統を知ると、クリスマスの楽しみ方が変わりますよね。
自分で楽しむだけでなく、贈り物としても非常に喜ばれるお菓子です。保存が効くため、相手に気を遣わせずに贈ることができます。
また、クリスマスの意味が込められた特別な菓子であるため、プレゼントとしての価値も高まります。家族や友人への贈り物として選んでみてはいかがでしょうか。
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