「最近いびきがひどくなった気がする…」「パートナーに呼吸が止まってるって言われた」
こんな経験がある方は、もしかすると“喉や鼻の構造に問題”があるかもしれません。
実は、鼻の中の壁が曲がっていたり、扁桃腺が大きかったりといった身体の構造的な要因が、いびきや睡眠の質に大きく影響することがあります。
この記事では、睡眠健康指導士の視点を交えながら、原因の見つけ方や治療方法までをわかりやすく解説します。

今真一
上級睡眠健康指導士第782号
【上級睡眠健康指導士第782号】睡眠(いびき・不眠等)に関わる悩みや疑問を解決するアドバイザーとして活動。他、寝具にも精通しており寝具レビューYouTubeの運営もおこなっている。
喉や鼻の構造変化とは?
いびきの原因の中には、「喉や鼻の形に由来するもの」があります。これを“構造性いびき”とも呼び、鼻や喉の空気の通り道が狭くなってしまうことで、空気が乱れていびきが発生します。ここでは代表的な3つの構造変化をご紹介します。
鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)
鼻の中央にある「鼻中隔」という壁が左右どちらかに曲がってしまう状態。
軽度なら自覚症状がないこともありますが、重度の場合は空気の通りが悪くなり、慢性的な鼻詰まりやいびきの原因になります。
扁桃腺肥大・アデノイド肥大
扁桃腺(のどの左右)やアデノイド(鼻の奥)が通常より大きくなる状態。
喉のスペースが狭くなり、就寝時の呼吸を妨げます。特に小児に多く、いびきや睡眠時無呼吸の原因になることがあります。
▶健康長寿ネット「睡眠時無呼吸症候群」
下鼻甲介肥大・鼻ポリープなど
アレルギーや炎症が原因で、鼻の内側の組織が腫れたり、ポリープができたりする状態。
これにより鼻呼吸がしづらくなり、口呼吸が習慣化していびきが悪化しやすくなります。
いびきとの関係性
鼻や喉の構造が変化すると、空気の通り道=”気道”が狭くなります。これにより、吸い込んだ空気が通る際に組織が振動し、「ゴーゴー」「ガーガー」といった音=いびきが生じます。
また、仰向けで寝ると舌が喉の奥に落ちやすくなり、気道がさらに狭まることでいびきが悪化しやすくなります。
構造的な問題によるいびきは、「鼻いびき」や「喉いびき」とも呼ばれ、アレルギーや筋力低下によるものと区別して考えることが重要です。
病院に行くべき症状チェックリスト
次のような症状がある場合は、専門の診察を受けることをおすすめします。
- 日常的に口呼吸をしている
- 鼻づまりが長引いている
- 寝ているときに呼吸が止まっていると言われた
- 朝起きたときに喉が痛い・だるい
- 睡眠時間は取れているのに昼間に眠くなる
診察の流れと受診すべき科
まずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。必要に応じて、睡眠外来や呼吸器内科での精密検査に進むこともあります。

検査内容には、CT・内視鏡・アレルギー検査、ポリソムノグラフィー(睡眠時無呼吸症候群の判定)などがあり、原因の特定に役立ちます。
鼻や喉の“かたち”の変化が原因のいびきの治療法
喉や鼻の構造に異常がある場合、生活習慣の見直しだけでは根本的な改善がむずかしいことがあります。構造変化が原因のいびきには、その状態に合わせた「適切な治療法」を選ぶことが大切です。
ここでは、医師の診察のもとで選択される代表的な治療法と、それぞれの適応範囲について解説します。
鼻や喉の“かたち”の変化が原因のいびきに対して正しい・適切な治療法
鼻や喉の構造が原因でいびきが起きている場合、その程度や部位に応じた治療が必要です。
- 外科的手術(鼻中隔矯正術、扁桃腺摘出など)
- ナイトレーズ(レーザー治療)
- 保存療法(点鼻薬、アレルギー治療)
たとえば、鼻中隔のゆがみや扁桃腺の肥大など重度のケースには、外科手術による根本的な改善が効果的です。
また、軽〜中程度の構造変化には、喉奥の組織を引き締めるナイトレーズ治療が有効とされています。アレルギーや炎症が原因の場合は、点鼻薬や抗アレルギー薬など保存的な治療でも症状の緩和が期待できます。
鼻や喉の“かたち”の変化が原因の場合に不適切または限定的な治療法
いびきの治療にはさまざまな選択肢がありますが、すべてが構造的な原因に効果的というわけではありません。例えば、マウスピースやCPAP療法は一定の状況では有効ですが、鼻の歪みや扁桃肥大など“物理的に気道が狭くなっている”ケースには根本的な解決にならないこともあります。
以下では、構造変化が原因の場合に適切な治療と、そうでない治療の違いを解説します。
マウスピース治療
下顎を前方に出して気道を広げるための処置です。舌根沈下型のいびきには有効ですが、鼻中隔の歪みや扁桃腺の肥大には直接効果は期待できません。
参考リンク:日本睡眠歯科学会「治療について(マウスピースの治療効果)」
CPAP療法
主に睡眠時無呼吸症候群(閉塞型)に対して有効。構造異常そのものを改善する治療ではないため、症状が重い場合の「補助的」対応にすぎません。
参考リンク:日本呼吸器学会「Q30. CPAP(シーパップ)とはどのような治療法ですか?」
よくある質問(FAQ)
まとめ|いびき改善の第一歩は「原因を知ること」
いびきの原因は生活習慣だけでなく、喉や鼻の構造にあることも少なくありません。毎晩のいびきや眠りの浅さに悩んでいるなら、まずは「構造の問題があるかも?」という視点で身体を見直してみましょう。
専門医の診察を受け、必要に応じた治療や生活改善を取り入れることで、いびきの軽減や快眠につながるはずです。
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