この記事では、元料理人の筆者が国産の無添加本みりんを厳選し、産地別におすすめの10商品をご紹介します。各地域の特徴や製法に注目し、料理に最適な1本を見つけるお手伝いをいたします。

今真一
元料理人(都内数店舗で修行)・上級睡眠健康指導士
10年ほど都内のイタリアンで修行し、料理長も務めた経験あり。現在は睡眠に関わる悩みや疑問を解決するアドバイザーとして活動。妻と子供2人のため、毎日夜ご飯を作っている。
国産無添加本みりんとは?メリットや主な生産地域を紹介!
国産無添加本みりんは、国産の原材料を使用し、添加物を一切含まない伝統的な製法で作られたみりんです。料理に深いコクと自然な甘みを加えることができ、多くの料理愛好家やプロの料理人から支持されています。
無添加本みりんは、化学調味料や保存料を使用せず、自然の原料のみで作られているため、安心して使用できます。また、添加物がない分、素材本来の旨味や甘みを引き出すことができ、料理の味を一層引き立てます。
そもそも本みりんとは|無添加本みりんとは違う?
本みりんは、もち米、米麹、焼酎を原料とし、長期間熟成させて作られる伝統的な調味料です。製造過程では、原料を混ぜ合わせ、もろみと呼ばれる状態で90日間発酵させ、その後300日以上熟成させます。これにより、深い味わいと香りが生まれます。
- 原材料が「もち米、米麹、焼酎」のみであること
- 糖類や醸造アルコール、調味料(アミノ酸)などの添加物が含まれていないこと
- 「伝統製法」や「長期熟成」といった表記があるもの(時間をかけて発酵させた本みりんは自然な甘みが特徴)
また、「本みりん」と表記されていても無添加とは限りません。原材料が「もち米、米麹、焼酎」のみであること、糖類や醸造アルコール、調味料(アミノ酸)などの添加物が含まれていないこと、伝統製法であることを確認しましょう。
本みりんでももちろん無添加のものがありますので、「無添加」表記にこだわらず、成分表示を見て判断しましょう。
本みりんと無添加の本みりんの違いは以下の表をご覧ください。
項目 | 本みりん | 無添加本みりん |
---|---|---|
原料 | もち米、米麹、焼酎またはアルコール(添加物が含まれる場合あり) | もち米、米麹、焼酎のみ(添加物なし) |
甘み | 甘みが強い(糖類や添加物で調整されることがある) | まろやかで自然な甘み |
香り・風味 | 風味の調整がされていることがある | 米由来の自然な香りと深み |
添加物 | 醸造アルコールや糖類、調味料などが含まれる場合がある | 一切不使用 |
無添加本みりんが選ばれる理由ってなに?メリットは安心と自然な味わい
無添加本みりんは、化学調味料や保存料を使用せず、自然の原料のみで作られているため、安心して使えることが大きな魅力です。さらに、添加物が一切入っていないことで、素材本来の風味を活かし、料理をより引き立てることができます。
無添加の本みりんの主なメリットは以下のとおりです。
メリット | 詳細 |
---|---|
安心して 使える | 余計な添加物が入っていないため、健康志向の方や食品の品質にこだわる方に最適。 |
自然な甘み とコク | もち米・米麹・焼酎のみで発酵・熟成されるため、深みのある自然な甘さが特徴。 |
料理の味を 引き立てる | 添加物がない分、食材本来の味を邪魔せず、旨味を最大限に引き出す。 |
長期熟成による豊かな風味 | 伝統的な製法で時間をかけて発酵させることで、香り高く奥行きのある味わいに。 |
お酒の風味 が活きる | アルコールがしっかり含まれており、煮物や焼き物の風味を引き締める効果がある。 |
① 余計な添加物なしで「安心」して使える
市販の本みりんの中には、糖類や醸造アルコール、調味料(アミノ酸)が加えられているものもあります。このような添加物が気になる方にとって、無添加本みりんは「自然の原料だけで作られた調味料」という点で、安心して選べるポイントになります。
② 自然な甘みで、料理の味を引き立てる
無添加本みりんの甘さは、もち米のデンプンが自然に糖化することで生まれます。そのため、人工的な甘さではなく、まろやかで上品な味わいになります。料理に使うことで、砂糖を加えなくても自然な甘さとコクが出るのが特徴です。
③ 長期熟成による深みのあるコクと香り
本格的な無添加本みりんは、数か月から数年かけて熟成されます。その結果、豊かな香りと奥行きのある旨味が生まれ、煮物や照り焼き、和え物などに使うと、味に深みをプラスできます。
④ アルコールの風味で料理をより美味しく
無添加本みりんには、しっかりとしたアルコール分(約14%前後)が含まれているため、食材の臭みを消し、味を引き締める効果があります。加熱することでアルコールが飛び、旨味だけが残るため、料理の仕上がりがより本格的になります。
代表的な本みりんの生産地域
本みりんの生産地として有名なのは、愛知県、岐阜県、石川県、千葉県などです。各地域で独自の製法や特徴があり、地域ごとの風味や味わいを楽しむことができます。
無添加本みりんの選び方のポイント
無添加本みりんを選ぶ際には、原材料の質・熟成期間・味の特徴をしっかり確認することが重要です。
- 原材料の質を確認
- 熟成期間をチェック
- 味の特徴を比較
- 産地で選ぶ!
原材料の質を確認する:シンプルゆえに味に直結
無添加本みりんは、もち米・米麹・焼酎(または米焼酎)の3つのシンプルな原料で作られます。そのため、原材料の質が味に直結しやすいです。
もち米の品質
- 国産の有機栽培米や特別栽培米が使われているものは、甘みが濃く、風味豊かな仕上がりになります。
- 「新米使用」と記載があるものは、よりフレッシュな風味が楽しめます。
米麹の種類
- 黄麹菌を使ったものは、穏やかな甘みと優しい香りが特徴。
- 白麹菌を使ったものは、発酵の進みがよく、やや強めの甘みが出やすい。
焼酎の種類
- 米焼酎ベース:すっきりとした味わいで、上品な風味。
- 麦焼酎ベース:コクがあり、力強い旨味が加わる。
- 芋焼酎ベース:やや個性的な香りが加わり、味に深みが増す。
原材料が「もち米・米麹・焼酎」のみであることを確認し、余計な添加物(糖類・調味料・醸造アルコールなど)が含まれていないかを成分表示でチェックしましょう。
熟成期間をチェックする:味や香りの深み
無添加本みりんは、熟成期間によって味や香りの深みが変わるため、用途に合わせて選ぶのがポイントです。
1年熟成(短期熟成)
- さっぱりとした甘みで、あっさりした料理に向いている。
- クセが少なく、初めて無添加本みりんを試す人におすすめ。
2~3年熟成(中期熟成)
- 甘みが強くなり、コクのある味わい。
- 煮物や照り焼きなど、しっかり味をつけたい料理に最適。
3年以上熟成(長期熟成)
- 濃厚で芳醇な香りがあり、深いコクが楽しめる。
- 料理だけでなく、みりん酒としてそのまま飲んだり、デザート作りにも活用可能。
熟成期間が長いほど甘みが強く、コクが深まるため、どんな料理に使うかを考えて選ぶとよいでしょう。
味の特徴を比較する
無添加本みりんは、メーカーや製造方法によって味わいが異なります。料理の用途に応じて選びましょう。
タイプ | 特徴 | おすすめの料理 |
---|---|---|
あっさりタイプ | 軽やかな甘みでクセが少ない | だし巻き卵、浅漬け、ドレッシング |
コクのあるタイプ | まろやかで奥深い甘さ | 煮物、照り焼き、煮込み料理 |
芳醇な タイプ | 熟成による濃厚な甘みと香り | おせち料理、甘酒、デザート作り |
試しに少量使ってみて、好みの甘さや風味を見つけるのもおすすめです。
無添加本みりんは、料理の味を引き立てる自然な甘みとコクが魅力です。ぜひ、自分の料理スタイルに合った1本を選んでみてください!
無添加本みりんの産地で選ぶ!
無添加本みりんは、主に愛知・岐阜・石川などの伝統的な醸造文化がある地域で作られています。それぞれの産地によって特徴が異なるため、料理や好みに合わせて選ぶのがポイントです。
主要産地 | 代表的なメーカー | 特徴 |
---|---|---|
愛知県 (三河地方) | 角谷文治郎商店(三州三河みりん)、九重みりん(九重櫻)、甘酒酒造(昔仕込み本みりん) | 本みりん発祥の地。濃厚な甘みとコクが特徴。伝統製法を継承。 |
岐阜県 | 白扇酒造 ・福来純 伝統製法熟成本みりん ・福来純 三年熟成本みりん | 長期熟成による深いコクと芳醇な香り。甘みのバランスが良く料理に適する。 |
石川県 | 福光屋(純米本みりん 福みりん、さしすせそ 七年熟成 黒味醂) | 純米酒の技術を活かし、低温熟成でまろやかな甘みと旨味を実現。 |
静岡県 | 杉井酒造(純米本みりん 飛鳥山) | 国産もち米使用。風味豊かで自然な甘みを生かしたみりん。 |
京都府 | 宝酒造(宝本みりん 国産米100% 純米) | 大手メーカーながら無添加の高品質みりんを製造。クセが少なく幅広い料理に使いやすい。 |
千葉県 | キッコーマン(マンジョウ 濃厚熟成本みりん) | 江戸時代からの醸造文化を継承。甘みと旨味があり煮物やタレ作りに適する。 |
愛知県産のおすすめ無添加本みりん3選
愛知県は、江戸時代から続くみりんの産地として知られています。特に碧南市は、三河みりんの発祥地として有名で、伝統的な製法を守る蔵元が多く存在します。
角谷文治郎商店「三州三河みりん」

角谷文治郎商店の「三州三河みりん」は、国産のもち米、米麹、米焼酎を使用し、伝統的な製法で作られています。長期間熟成させることで、深いコクと自然な甘みが特徴です。料理に使用すると、照りや艶が美しく出ると評判です。
九重味醂「九重櫻」

九重味醂の「九重櫻」は、江戸時代から続く伝統的な製法で作られた無添加本みりんです。三河地方特有の甘さと香りがあり、料理に上品な甘みと旨味を加えることができます。特に、魚の煮付けや照り焼きに使うと、素材の味を引き立てると評判です。
甘強酒造「昔仕込本みりん」

甘強酒造の「昔仕込本みりん」は、3年間の熟成期間を経て作られる本格派のみりんです。濃厚な甘みとコクがあり、洋菓子作りやドレッシングの甘味料としても利用できます。料理の味を一段と引き立てるため、多くの料理人に愛用されています。
岐阜県産のおすすめ無添加本みりん2選
岐阜県でも、伝統的な製法で本みりんを製造する蔵元があります。特に白扇酒造は、その品質の高さで知られています。
白扇酒造「福来純 伝統製法熟成本みりん」

白扇酒造の「福来純 伝統製法熟成本みりん」は、国産のもち米、米麹、焼酎を使用し、1年以上熟成させて作られています。深いコクと自然な甘みが特徴で、料理に使用すると味わいが格段に向上すると評判です。
白扇酒造「福来純 三年熟成本みりん」

同じく白扇酒造の「福来純 三年熟成本みりん」は、3年間熟成させることで、より深いコクと豊かな風味を持つ本みりんです。煮物や照り焼きなど、味に深みを持たせたい料理に最適です。
石川県産のおすすめ無添加本みりん3選
石川県でも、伝統的な製法で本みりんを製造する蔵元があります。特に福光屋は、その品質の高さで知られています。
福光屋「純米本味醂 福みりん」

福光屋の「純米本味醂 福みりん」は、国産のもち米、米麹、米焼酎を使用し、長期間熟成させて作られています。まろやかな甘みと深いコクが特徴で、利用者からは「料理の味が格段に良くなる」と高い評価を受けています。
麹、米焼酎を使用し、伝統的な製法で作られています。自然な甘みと深いコクが特徴で、煮物や照り焼きなどの和食に最適です。また、そのまま飲んでも美味しく、料理以外の用途にも活用できます。
福光屋「さしすせそ 七年熟成 黒味醂」

「さしすせそ 七年熟成 黒味醂」は、7年の熟成を経た希少な黒みりんです。通常の本みりんよりも濃厚な甘みと深いコクがあり、デザートやソース作りにも活用できます。
その他の地域のおすすめ無添加本みりん3選
全国には、まだまだ美味しい無添加本みりんがあります。ここでは、静岡、京都、千葉の代表的な本みりんを紹介します。
杉井酒造(静岡県)「純米本みりん 飛鳥山」

杉井酒造の「純米本みりん 飛鳥山」は、日本酒造りの技術を活かした一本です。料理だけでなく、カクテルやスイーツにも活用可能です。
宝酒造(京都府)「タカラ本みりん 国産米100% 純米」

宝酒造の「タカラ本みりん 国産米100% 純米」は、国産米のみを使用した本格派です。クセが少なく、和食全般に使いやすいと評判です。
キッコーマン(千葉県)「マンジョウ 濃厚熟成本みりん」

「マンジョウ 濃厚熟成本みりん」は、キッコーマンが手がける濃厚な味わいのみりんです。照り焼きや煮魚に使うと、料理に上品な照りと旨味をプラスできます。
『無添加』であることが本来の味醂です
「無添加」と聞くと、「健康志向の人向け」「特別な商品」という印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、実は無添加本みりんこそが、本来の伝統的なみりんの姿なのです。
もともと本みりんは、もち米・米麹・焼酎だけ で作られていました。長期間の熟成を経て、自然な甘みと旨味が生まれ、料理に深みを与えてくれる伝統的な調味料だったのです。しかし、時代とともに大量生産が進み、糖類や醸造アルコール、調味料(アミノ酸)などを加えた「みりん風調味料」や一部の本みりんが普及しました。
その結果、「本来の製法で作られたみりん」が、あえて「無添加本みりん」と呼ばれるようになったのです。
つまり、「無添加本みりん」=昔ながらの正統派みりん。これは特別なものではなく、伝統を守り続けている本来の味わいです。
市販されているみりんと比べると、まろやかで奥深い甘みがあり、余計な添加物がないため、料理の味を邪魔せず、素材の旨味を引き立てます。「無添加だからヘルシー」ではなく、「これが本来の味」 ということをぜひ知っていただきたいです。
まとめ
無添加本みりんは、料理に深いコクと自然な甘みをもたらす、伝統的な調味料です。添加物を一切含まず、もち米・米麹・焼酎だけで仕込まれるため、安心して使えるのが大きな魅力。特に、素材の味を活かしたい料理には最適です。
この記事で紹介している本みりんと無添加本みりんの違いを理解し、選び方のポイントを押さえることで、料理の仕上がりがぐっと変わります。特に、原材料がシンプルで長期熟成されたものほど、奥深い甘みと風味が楽しめるでしょう。
料理に深みを加える調味料として、無添加本みりんは一度試す価値があります。ぜひ、自分の好みに合った1本を見つけて、日々の料理をさらに美味しくしてみてください。
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