天然素材のシアバターはからだに優しく、保湿効果が高い人気のスキンケアアイテムです。シアバターには未精製のものと精製されたものがあり、特徴やメリットの違いを知ることで目的に合ったものを選ぶことができます。
この記事では、未精製と精製のシアバターの違い、それぞれのメリットとデメリットをわかりやすく紹介しています。
シアバターの精製とは
シアバターの精製は以下のような流れで精製されています。
- 収穫:シアの木から落ちたシアの実(シアナッツ)を収穫。
- 果肉の除去:シアナッツの外側の果肉を取り除き種子を取り出す。
- 乾燥:種子を日光や乾燥機で乾燥させる。
- 粉砕:乾燥した種子を粉砕してペースト状にする。
- ロースト:ペーストを焙煎し、シアバターの特徴的な香りと風味を引き出す。
- 練り:焙煎したペーストを水と一緒に練り、油分を分離させる。
- 分離:ペーストを撹拌して油分を浮かせ、その上澄みを取り除く。
- 精製:取り出した油分を濾過し、不純物を除去。この過程で脱色や脱臭が行われることある。
- 冷却・固化:精製された油を冷却し、固形のシアバターにする。
日本の大手化粧品メーカーやオーガニック製品メーカーなどがアフリカからシアバターを輸入し、自社の工場で製品に加工しています。
また、一部の企業は現地の女性たちの手作業による生産を支援し、フェアトレードとしてシアバターを輸入することもあります。
比較早見表|シアバターの未精製と精製の違い
未精製のシアバターと精製されたシアバターには多くの違いがありますが、どちらが良い悪いということではなく、目的に合っているのはどちらなのかを正しく知ることが大切です。
以下の表では、未精製と精製の違いを6項目で比較しています。
比較 項目 | 未精製 | 精製 |
---|---|---|
特徴 | ・栄養素を多く含む ・保湿力や抗酸化作用に優れている | ・無色、無臭で扱いやすい ・アレルギーリスクが低い |
製造方法 | シアの種を乾燥後、 炒ってペースト状にする | 有機溶剤で抽出後、 薬剤にて化学処理 |
見た目と 香り | ・自然なクリーム色 ・ナッツのような香り ・不均一な自然な質感 | ・白色 ・ほぼ無臭 ・均一でなめらかな質感 |
成分 | ・ビタミンA,E,F ・トリテルペンアルコール ・ステロール ・フェノール酸 | 未精製と主成分は同じだが 一部栄養素が失われる |
目的 | 濃厚な成分や 効果を得たい場合 | 無臭を好み、 長期保存を優先したい場合 |
おすすめ な人 | ・乾燥肌の人 ・敏感肌の人 | ・アレルギー体質の人 ・香りに敏感な人 |
特徴の違い
未精製シアバターは、シアの素材をそのままの形で使うため、多くの栄養素が自然な状態で残っています。具体的に、ビタミンA、E、Fが豊富であり、保湿力や抗酸化作用に優れていることが特徴です。
一方で、精製シアバターは色や香りが取り除かれるため、保存性が高まったり、加工しやすかったり扱いやすくなっています。また、未精製のものに比べて、均一な色と質感が特徴です。さらに、化学処理によってアレルギーリスクが低減されていることもあります。
見た目と香りの違い
未精製のシアバターはナチュラルなクリーム色で、シアの自然な香りです。ナッツのような香りで、ほんのり香る程度です。
見た目は自然な質感でシアそのものの良さを感じられます。ごくまれにザラつきが混じっていることもありますが、それも自然な風合いとして楽しみましょう。
精製されたシアバターは、白色で無臭、滑らかな質感です。シアらしさは正直あまり感じられませんが、すでに他のスキンケアで香りを楽しんでいる人や、アレルギーの心配がある人には理想的です。
成分の違い
前述したように、シア自体にはビタミンA、E、Fが豊富に含まれていますが、それに加えてトリテルペンアルコール、ステロール、フェノール酸なども含まれており、高い保湿効果や抗酸化作用をもたらします。そのため肌の栄養となり、炎症を鎮める役目も果たします。
精製した場合、その過程でビタミン類が多少失われることがあります。保湿効果をもつ主要な成分は残るので精製されたシアバターであってもスキンケアアイテムとしては優秀です。
また、精製することで不純物も減るため、アレルギーリスクや酸化の原因が低減されるというメリットがあります。
未精製のシアバター|メリットとデメリット
未精製のシアバターのメリットとデメリットを紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
美肌成分が豊富 化学処理をおこなわない ナチュラルな風合いが楽しめる | 香りが苦手な場合がある アレルギーのリスクがある 保存期間が短い |
未精製のシアバターのメリット
未精製シアバターのメリットには、美肌成分が豊富、化学処理をおこなっていないこと、ナチュラルな風合いを楽しめることがあげられます。
美肌成分が豊富
未精製とはそのままの状態であるということ。天然の栄養素もそのまま残っています。シアバターに含まれる成分は、老化防止や、肌荒れの改善、細胞の再生を促進する効果があります。
また、精製されると融点が高くなり、高いものでは39度Cくらいになる一方で、未精製のものは約36.5度Cで溶解するため、未精製であるほど肌への浸透率が高いといえます。
化学処理をおこなわない
精製の過程で化学処理をおこなう際には薬品が使われます。当然、未精製の場合はこの過程がありません。精製されたシアバターが体に害をもたらすわけではありませんが、化学処理を一切おこなわない以上に安心なことはないですよね。
ナチュラルな風合いが楽しめる
こちらは好みが分かれそうですが、未精製だからこそ楽しめるシアの風合いがあります。ほんのり香る独特なにおいや、不均一だからこそまれに出るザラつきなど、不完全であることが良さであり、本物の証です。
未精製のシアバターのデメリット
未精製シアバターのデメリットには、独特なナッツのような香り、アレルギーリスク、保存期間の短さがあげられます。
香りが苦手な場合がある
未精製だからこそ残る、独特のナッツのような香り。化学的な香料とは違うので、自然な香りを生々しく感じる人もいるでしょう。においに敏感な人やナッツの香りを苦手に思う人は精製されたものが無難です。
アレルギーのリスクがある
シアバターに含まれているナッツ由来の成分にアレルギー反応を起こす人がまれにいます。初めて使用する場合はかならずパッチテストをおこなうか、別のオイルを検討してください。
保存期間が短い
シアの素材を自然なまま加工しているため、不純物も残っています。不純物は当然存在するもので体に害はありませんが、酸化を早める原因でもあります。
冷暗所での保存を心がけ、早めに使い切るか、使い切りやすい小サイズのものを買うと良いでしょう。
精製されたシアバター|メリットとデメリット
精製されたシアバターのメリットとデメリットを紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
クリームなどに加工しやすい アレルギーリスクが低い 保存がきくのでお財布にやさしい | 未精製より美肌成分は少ない 化学処理の過程が不透明 シアらしさを感じにくい |
精製されたシアバターのメリット
精製されたシアバターのメリットは、加工のしやすさや精製シアバターに比べてアレルギーリスクが低くなること、保存性が高いことがあげられます。
クリームなどに加工しやすい
精製される際に香りや色、不純物が取り除かれることから、別のものに加工しやすくなります。
たとえば、シアバターを使って自家製クリームや石けん、リップなどを作る際に他の製品と調和し、好みの香りづけをおこなえます。
アレルギーリスクが低い
精製過程でアレルゲンが取り除かれるため、ナッツアレルギーの人でも安心して使える場合が多いです。
保存がきくのでお財布にやさしい
酸化の原因となる不純物が除去されるため、劣化しにくく、安定しています。
ただし、たとえ精製されたものであっても基本的には冷暗所での保存をおすすめします。あくまでも保存環境をしっかり整えたうえで、長期保存しましょう。
保存がきく分、コスパの良い大容量タイプを選ぶこともできるのでお財布にもやさしいと言えます。
精製されたシアバターのデメリット
精製されたシアバターのデメリットは、精製することでリスク低減し、無難である分、享受できる部分がやや減ってしまうというのが全体の印象です。詳しくみていきましょう。
未精製より美肌成分は少ない
栄養素の観点からは未精製のシアバターの方が優れています。精製過程でビタミンの量が減少してしまっても、保湿効果はほとんど変わりません。
とはいえ、栄養が一部失われているのは事実です。栄養価を重視する人は未精製の物を選ぶべきです。
化学処理の過程が不透明
化学処理の際に薬品が使われますが、どのような薬品を何のために使っているのか、その辺りは不透明なことが多いのが現状です。
抽出や処理の過程を明記しているものはほとんどないので、メーカーに直接問い合わせる手間が発生します。製造元と販売元が別であることも多いので、返答に時間を要する場合もあるかもしれません。
シアらしさを感じにくい
化学処理がおこなわれている精製されたシアバターは、天然の状態から変わってしまいます。つまり「シアらしさ」が消えてしまうということでもあります。
目立った特徴がなくなってしまうのは、良さでもある一方で、天然素材そのものの良さを好む人には寂しく感じられるかもしれません。
まとめ|未精製・精製、それぞれのおすすめな人
未精製のシアバターと精製されたシアバターの、メリット・デメリットをふまえたうえで、それぞれがどんな人におすすめなのかを以下にまとめました。
- 栄養素や効果重視の人
- 乾燥や、肌荒れを起こしている人
- ナチュラル志向な人
- 使用頻度が高く、早く使い切れる人
- 化粧品を手作りする人
- 天然の香りが苦手な人
- アレルギー体質の人
- 保存がきく方が安心できる人
シアバターは、目的や肌質に合わせて「未精製・精製」をチョイスしましょう。この記事を参考に、自分に合ったシアバターを見つけて、スキンケアやヘアケアに役立ててください。
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