パン作りに欠かせないドライイーストの中でも、「赤サフ」と「金サフ」は特に人気の高い製品です。
しかし、それぞれの違いを理解しないまま使うと、思ったような仕上がりにならないこともあります。この記事では、赤サフと金サフの違いを詳しく解説し、用途別の使い分けポイントを紹介します。

今真一
元料理人(都内数店舗で修行)・上級睡眠健康指導士
10年ほど都内のイタリアンで修行し、料理長も務めた経験あり。現在は睡眠に関わる悩みや疑問を解決するアドバイザーとして活動。妻と子供2人のため、毎日夜ご飯を作っている。
赤サフと金サフ比較表

項目 | 赤サフ(低糖生地向け) | 金サフ(高糖生地向け) |
---|---|---|
適した生地の糖分量 | 5%以下 | 5%以上 |
主な用途 | フランスパン、ベーグル、ピザ生地、フォカッチャ | ブリオッシュ、メロンパン、シュトーレン、デニッシュ |
発酵力 | 低糖生地で強い発酵力を発揮 | 高糖生地でも安定した発酵力 |
発酵温度 | 25~28℃ | 28~32℃(やや高めが適正) |
発酵時間 | 通常の発酵時間でOK | 低温長時間発酵で風味UP |
保存方法 | 冷蔵(3ヶ月以内推奨)・冷凍(半年~1年) | 冷蔵(3ヶ月以内推奨)・冷凍(半年~1年) |
特徴 | 低糖生地に適した強い発酵力、パリッとした仕上がり | 高糖生地に適し、リッチな風味を引き出す |
赤サフと金サフの基本的な違いとは?

赤サフと金サフの最大の違いは、発酵力と適したパン生地の種類です。特に「耐糖性」の有無が発酵に大きく影響します。ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
赤サフとは?低糖生地向けイーストの特徴

赤サフ(サフ・インスタントレッド)は、主に低糖生地(砂糖5%以下)向けに作られたドライイーストです。発酵力が強く、グルテンの生成を助ける働きがあります。そのため、ハード系のパンに適しています。
金サフとは?高糖生地対応イーストの特性

金サフ(サフ・インスタントゴールド)は耐糖性酵母を含んでおり、砂糖を多く含む生地でも安定した発酵をおこなえます。高糖生地で発酵しやすいため、菓子パンやデニッシュなどリッチなパン作りに適しています。
耐糖性の有無による発酵力の差
耐糖性がない赤サフは、高糖生地では発酵が弱まりやすく、十分に膨らまないことがあります。
一方、金サフは糖分が多い環境でも活発に活動し、安定した発酵力を発揮します。この違いを理解し、適切なイーストを選ぶことが大切です。
赤サフが適しているパンの種類とその理由
赤サフはシンプルな材料で作られるパンに向いています。小麦の風味を活かしたパン作りに適しているため、リーンなパン作りに重宝されます。
フランスパンやフォカッチャなどのリーンなパン
リーンなパンとは、砂糖や油脂をほとんど含まないパンのことです。
代表的なものにフランスパン、バゲット、カンパーニュ、フォカッチャなどがあります。これらのパンは、しっかりとした生地の食感が求められるため、赤サフの強い発酵力が最適です。
赤サフ使用時の発酵の特徴と風味の違い
赤サフを使うことで小麦本来の風味が引き立つため、香り高いパンに仕上がります。また、発酵力が強いため、しっかりと気泡が入り、軽い食感のパンが作れます。
赤サフを使う際のポイントと注意点
赤サフを使う際には以下のポイントに気を付けましょう。
- 低糖生地(砂糖5%以下)に使用する
- 発酵時間を適切に調整し、過発酵を避ける
- 焼成前に適度にスチームを入れる
糖分が5%を超えて高くなると、イーストの水分吸収が阻害されるため、発酵が遅くなります。
糖は浸透圧を高める性質があり、赤サフの酵母細胞から水分を奪ってしまい、結果として、イーストが十分に活動できず、生地が膨らみにくくなるでしょう。
また、焼成前に適度にスチームを入れることで、生地表面が乾燥せず、膨らみやすくなります。特にフランスパンやハード系のパンでは、クープがよく開き、パリッとしたクラスト(外皮)が形成されるメリットがあります。
さらに、スチームがデンプンをゼラチン化させるため、艶のある仕上がりになりやすいです。一方で、スチームが多すぎるとクラストが厚くなりすぎるため、適量を調整することが重要となります。
金サフが活躍する高糖生地のパンとは?
金サフは砂糖を多く含む生地に最適なイーストです。菓子パンやリッチなパンの仕上がりに大きく影響します。
菓子パンやシュトーレンなどのリッチなパン
金サフは、耐糖性を持つため、砂糖や油脂を多く含む生地での発酵が安定します。ブリオッシュ、シュトーレン、シナモンロールなど、リッチなパンに適しています。
金サフが高糖生地で発揮する効果とは?
糖分が多いと、通常のイーストは発酵が遅くなります。しかし、金サフは糖環境でも活発に働くため、ふんわりとした仕上がりになります。
金サフを使用する際のポイントと注意点
金サフを使用する際のポイントと注意点は以下のとおりです。
- 砂糖5%以上の高糖生地に使用する
- 発酵温度を適切に管理し、過発酵を防ぐ
- リッチな風味を出すために低温長時間発酵も活用する
金サフは砂糖5%以上の高糖生地に適したイーストで、甘みの強いパンやバターをたっぷり使うリッチな生地でも、安定した発酵力を発揮します。
ただし、高糖生地は発酵管理が重要。温度が高すぎると過発酵になり、風味が落ちたり、膨らみすぎて形が崩れることも。理想的な発酵温度は25~28℃前後を意識し、時間を調整しましょう。
また、低温長時間発酵を活用すると、イーストの働きがゆっくり進み、旨味や風味が引き立つため、よりリッチな仕上がりに。冷蔵庫で8~12時間発酵させると、生地のコシが出て、焼き上がりもふんわりします。
金サフを使う際は、発酵管理と時間の調整がカギです。適切な環境で、香り高くふんわりしたパンを作りましょう!
赤サフ・金サフの正しい保存方法
赤サフ・金サフのどちらも保存方法は同じです。開封後は冷蔵保存が基本。冷凍保存するとより長持ちします。
未開封の場合
赤サフ・金サフともに、未開封なら常温保存が可能。直射日光や高温多湿を避け、涼しく乾燥した場所(15~25℃程度)で保管しましょう。賞味期限は長めですが、購入後はできるだけ早めに使用するのが理想です。
開封後の保存方法
開封後は湿気や酸化を防ぐため、冷蔵or冷凍保存が基本です。
冷蔵保存:約3ヶ月以内に使用
- 密閉容器やチャック付き袋に移し、冷蔵庫(0~5℃)で保存。
- 使う際は常温に戻さず、そのまま生地に混ぜてOK。
冷凍保存:半年~1年保存可能
- さらに長期間保存するなら**冷凍庫(-18℃以下)**へ。
- 使うときはそのまま計量し、すぐに混ぜれば問題なし。
どちらも湿気を避け、密閉保存することが重要となります。適切に保管して、発酵力をキープしましょう!
まとめ
赤サフと金サフは、パン作りに欠かせないドライイーストで、それぞれ適した生地の種類が異なります。
赤サフは低糖生地(砂糖5%以下)向けで、フランスパンやフォカッチャなどシンプルなパンに最適です。一方、金サフは高糖生地(砂糖5%以上)に対応し、ブリオッシュやシュトーレンなどリッチなパンに適しています。
イーストを使い分けることで、より美味しいパン作りが可能になります。適切な発酵環境を整え、理想の仕上がりを目指しましょう。
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