「安くて手軽そうだから浄水ポットを買ったけど、正直あまり使わなくなった…」
そんな声、実は少なくありません。
浄水ポットは、初期費用が安く、工事も不要という点で人気のアイテムですが、実際に使ってみると「ろ過スピードが遅い」「冷蔵庫で場所を取る」「除去性能が物足りない」など、思わぬ不満を感じる人も多いのが現実です。
この記事では、実際に浄水ポットをやめた人のリアルな理由をもとに、なぜ「意味ない」と感じるのかを整理。そのうえで、後悔しない浄水器の選び方を目的別にわかりやすく解説します。

佐伯 彩乃
元ウォーターサーバー販売員/フリーランスの暮らしコーディネーター/主婦向けの家電アドバイザー
元ウォーターサーバー販売員で、現在は主婦向けに家電選びのコツを発信する暮らしアドバイザー。実体験をもとに、使いやすさや電気代、安全性までわかりやすく解説。押し売りしない丁寧な情報発信が好評。
浄水ポットは意味ない?やめた人のリアルな声
一見コスパが良さそうな浄水ポットですが、実際に使ってみて「期待していたほどではなかった」と感じる人も多く、やめてしまうケースは少なくありません。ここでは、そんな“元ユーザー”たちのリアルな声をもとに、浄水ポットの見落としがちなデメリットを紹介します。
冷蔵庫で場所を取るのがストレス

冷蔵庫に入ると思って買ったのに、意外と場所を取る。中のものを出し入れするときに毎回邪魔になって、使わなくなりました。
浄水ポットは冷蔵庫で冷やして使うのが基本ですが、サイズによってはドアポケットに入らないことも。冷蔵庫の収納スペースを圧迫しやすく、日々の使い勝手に影響します。
例えるなら、「牛乳パック2本分のスペースに、水しか置けないような状態」。結果的に他の食材が入りづらくなったり、出し入れのたびにポットを持ち上げる手間が増えたりと、冷蔵庫の使い勝手そのものが悪くなってしまうケースもあります。
「見た目はコンパクトに見えたけど、冷蔵庫に入れてみたら予想以上に邪魔だった」という声は少なくありません。
ろ過スピードが遅い



朝に急いでるときに水が全然落ちてこない。結局、ペットボトルの水に戻りました。
ポット型浄水器の多くは重力だけで水をゆっくり通す構造のため、1回にろ過できる量が少なく、スピードもかなりゆっくりめ。
特に朝の忙しい時間帯や料理中など、「すぐに水を使いたいとき」に不便さを感じる人が多いです。コップ一杯の水を用意するだけでも1分以上かかることもあり、何杯も必要なときはストレスに感じやすくなります。
「ろ過中にうっかり忘れて出かけてしまった」「急いでいて結局水道水を飲んだ」などの声もあり、“待ち時間”が続くと使わなくなる大きな理由になりがちです。
除去できる物質が少なかった



カルキ臭は消えたけど、調べたらPFASや鉛は除去できないと知ってショック。健康のために使ってたのに…
ポット型浄水器の多くは活性炭フィルターを使用しており、主に「塩素(カルキ)」や「におい」など、味や見た目の改善に特化しています。
しかし、鉛・PFAS・農薬・細菌・ウイルスなどの人体に影響する有害物質までは除去できないケースが大半です。
たとえるなら、「網戸で蚊は防げても花粉やウイルスはすり抜けてしまう」ような状態。“きれいになった気がする水”でも、実は見えない有害物質が残っている可能性があるのです。
特にPFAS(有機フッ素化合物)などは社会的な関心が高まっているにもかかわらず、ポット型では除去できないことが多く、除去性能を誤解して購入してしまう人も多いのが現実です。
「体にいいと思って使っていたのに、実は安心できるレベルではなかった」と知ったときのショックは、後悔の大きな原因となります。
フィルター交換が意外と高くつく



カートリッジ代が思ったより高くてびっくり。年間にするとそれなりにコストがかかります。
ポット型浄水器は本体価格が2,000〜3,000円程度と手頃な一方で、フィルター交換が月1回ペースで必要なモデルも多く、維持費が思った以上にかかることがあります。
例えば、1個1,000円程度のカートリッジを12回交換すれば、1年で1万2,000円ほどの出費になる計算です。
たとえるなら、「安く見えるプリンター本体を買ったら、インク代で毎月出費がかさんでいく」ようなイメージ。使えば使うほどコストが積み上がる点は見落としがちです。
また、交換を後回しにするとろ過性能が落ち、水の味が悪くなったり、逆に衛生面で不安が出たりすることも。初期費用が安い=お得とは限らないのが、ポット型の注意点です。
使わなくなってそのまま放置



いつの間にか冷蔵庫の奥に…。交換時期も忘れるし、衛生面が心配で結局処分しました。
ろ過スピードや手間から徐々に使わなくなり、カビ・雑菌の温床になってしまうリスクも。「使いやすさ」が続けられるかどうかのカギになります。
これらの声からも分かるように、浄水ポットには手軽さの反面、使い方や目的によっては「合わない」と感じやすい落とし穴もあります。
それでも“浄水ポット”が選ばれる理由もある
「思ったより使わなかった」「意味がなかった」と感じた人がいる一方で、今もなお浄水ポットを選ぶ人は多く存在します。
なぜなら、浄水ポットには他のタイプにはない“手軽さ”と“手に取りやすさ”という大きな魅力があるからです。
初期費用が圧倒的に安い
本体価格は2,000〜3,000円程度から購入可能。蛇口直結型や据置型と比べて圧倒的に導入コストが低く、失敗してもダメージが小さいのが強みです。
維持費(ランニングコスト)も比較的リーズナブル
フィルター(カートリッジ)の価格は、1個あたり1,000〜1,500円程度が相場。
製品によって交換頻度は異なりますが、「2ヶ月に1回交換」が目安のモデルが多く、年間のランニングコストは約6,000〜9,000円前後に収まることが一般的です。
蛇口直結型や据置型では年間1万円〜2万円以上かかる場合もあるため、それらと比べれば比較的コストは抑えやすい傾向です。ポット型は「初期コスト」「設置手間」「維持費」のバランスが良く、コスパの良い入門型浄水器として重宝されています。
ただし、「1ヶ月に1回交換が必要なモデル」や「高性能カートリッジを採用しているモデル」では、コストが1万円を超えるケースもあるため、事前の確認は必須です。
工事不要で、どこでも使える
キッチンに限らず、冷蔵庫やテーブルの上など場所を選ばず使えるのもポット型のメリット。引っ越しや一人暮らし、オフィス、出張先などでも活用でき、住環境が変わっても対応しやすい柔軟さがあります。
見た目がシンプルで、置いても邪魔にならない
スリムな縦型やおしゃれなデザインのモデルも多く、「家電感」が少ないのも人気の理由。冷蔵庫のドアポケットに入るモデルなら、収納にも困りません。
浄水ポットが「意味ない」と感じる人に多い共通点
実際に使ってみたものの、「思ったより使わなかった」「期待外れだった」と感じる人には、いくつかの共通した特徴があります。
購入前に自分が当てはまらないか、ぜひチェックしてみてください。
毎日たくさんの水を使う家庭
ポット型はろ過スピードが遅く、1回の浄水量も限られます。
1日3L以上の水を使う家庭では「追いつかない」「何度も補充が面倒」と感じやすく、据置型や蛇口直結型の方がストレスなく使える傾向にあります。
忙しくて時間がない人
朝の出勤前や食事準備の時間帯に「ろ過が遅い」と感じる人が多いです。
とくに忙しいワーママ・共働き世帯などでは、「結局ペットボトルを買ってしまった」という声も少なくありません。
有害物質の除去まで期待していた人
「塩素やニオイは取れたけど、PFASや鉛は除去できないと知ってショック…」
このように、ポット型の限界を後から知って不満に感じるケースが多発しています。高性能フィルターを求めるなら、中空糸膜やRO膜搭載の製品がおすすめです。
ランニングコストまで考えていなかった人
「ポット本体は安いのに、フィルター代が年間1万円近く…」
このようにフィルター交換の手間や費用の継続性を甘く見積もっていた人も、「思ったより高くつく」と感じがちです。
冷蔵庫のスペースが限られている人
ポット型は冷蔵庫で冷やして使うのが一般的ですが、意外とドアポケットに入らない/取り出しづらいという声も多数。冷蔵庫収納との相性が悪いと、ストレスの原因になります。
上記に当てはまる項目が多いほど、浄水ポットは「向いていない可能性が高い」といえます。
次のパートでは、「じゃあどれを選べば後悔しないのか?」というタイプ別のおすすめ浄水器をご紹介します。ご希望があれば続けて提案可能です。
後悔しない浄水器選びのポイント【目的別】
以下に【目的別】後悔しない浄水器選びのポイントを、短文で簡潔にまとめました。
- 味やニオイを改善したい人
ポット型・蛇口直結型で十分。活性炭フィルターがおすすめ。 - 有害物質(PFAS・鉛など)まで除去したい
中空糸膜・RO膜搭載の据置型やビルトイン型を選ぶ。 - 水をたくさん使う家庭
大容量の据置型か水道直結型が快適。フィルター寿命にも注目。 - 手軽に始めたい・一人暮らし
ポット型が最適。初期費用も安く、設置不要でラク。 - メンテナンスの手間を減らしたい
自動洗浄機能付きや年1回交換タイプの機種を選ぶとラク。
まとめ|「やめた」は失敗じゃない。次の1台を見つけよう
浄水ポットを「やめた」「意味なかった」と感じた人も、それはあなたのライフスタイルに合わなかっただけかもしれません。
使ってみたからこそ分かった不満や違和感は、次に選ぶべき浄水器を見極めるための大切なヒントです。
目的や使用量に合った製品を選べば、水のある暮らしはもっと快適になります。
「安さ」や「手軽さ」だけでなく、自分や家族にとって本当に必要な性能を見極めて、後悔しない1台を見つけましょう。
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