パルスイートは、カロリーを抑える目的で多くの人に利用されている人工甘味料の一種です。しかし、その利便性とは裏腹に健康リスクも潜んでいます。
この記事では、パルスイートの成分や使用目的、発がん性リスクなど健康への怖い影響についてわかりやすく解説。パルスイートの代替品となる天然甘味料の選び方も紹介しています。
パルスイートとは
「パルスイート®」は味の素の商標です。人工甘味料の一種で、カロリー管理がしやすく糖尿病患者向けに広く使われています。
パルスイートの成分は合成化合物で、砂糖の約3倍の甘味を持ちながらカロリーがほとんどないという特徴を持ちます。成分や使用目的についてそれぞれ見ていきましょう。
パルスイートの成分
パルスイートの主成分はアスパルテームやスクラロースなどの合成化合物です。非常に甘い成分で、砂糖の約3倍の甘味度を持ちながらカロリーはほとんどありません。これが、パルスイートが低カロリー食品やダイエット製品によく使われる理由です。
しかし、パルスイートは化学的な処理が施されているため、自然の甘味料ではありません。人工甘味料は歴史が浅く、長期間の使用が健康に及ぼす影響について多くの研究がおこなわれている段階です。
パルスイートの使用目的
パルスイートは、砂糖の代替品として使われることがほとんど。低カロリーという特徴から、ダイエット食品や健康食品の甘味に利用されています。
血糖値を上昇させる砂糖を避けなければならない糖尿病患者や、カロリー制限をおこなっている人にとって、パルスイートは理想的な甘味料と言われています。
また、パルスイートは砂糖の約3倍の甘みがあり3分の1の使用量で済むことから、ジュースやお菓子、ヨーグルトなどの食事管理をとくに必要としない一般向けの食品にも広く使われています。
ただし、糖尿病の管理や予防、ダイエット目的で使用されることの多いパルスイートですが、2022年5月に世界保健機構WHOが体脂肪減少には寄与しないとして、ダイエット目的での使用を推奨しない(アスパルテームアスパルテーム)と発表しました。
参照:WHOウェブサイト
パルスイートの発がん性リスクについて
パルスイートは世界保健機構WHOにより発がん性リスクが指摘されており、怖いと感じる方も少なくないはずです。研究が進められている段階ではあるものの、実際には主成分であるアスパルテームは発がん性分類に指定されました。
世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は14日、無加糖をうたった清涼飲料水や食品などに広く使われている人工甘味料「アスパルテーム」について、発がん性の可能性があるとの見解を示した。特に肝臓がんを引き起こす可能性について懸念を示した。
アスパルテームは、IARCの分類で4段階ある発がん性の可能性のうち、下から2番目の「2B」に指定された。ガソリンを使用したエンジンの排ガスや、鉛などと同じレベル。
引用元:日本経済新聞
しかし一方で、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、実際に摂取した際の健康への影響を評価し、前回(1981年)の評価の際に設定した許容一日摂取量(ADI)を変更する理由はないとしました。
つまり簡単にまとめると、「極端に摂取した場合には発がん性リスクも考える必要があるが、通常どおりの摂取であれば人体に被害のあるレベルではないため特に気にする必要はないんじゃないか」というような見解です。
アスパルテームのADIは40mg/kgに設定。例えば、体重50kgの人なら1日2g、体重80kgの人なら3.2gが1日の許容摂取量となります。
以下では、動物実験の結果や人間への影響に関する研究、各国の規制と基準について紹介しています。
動物実験の結果
ある動物実験では、パルスイートの主成分であるアスパルテームやスクラロースの長期摂取が発がん性を高める可能性があると報告されています。ラットやマウスを使った実験で、特定の条件下で腫瘍の発生率が高まる結果が示されたのです。
世界保健機構のWHOは、とくに肝臓がんを引き起こす可能性について懸念を示しています。
動物実験結果は、パルスイートの安全性に対し不安を抱く要因となっています。ただし、動物実験の結果をそのまま人間に適用することはむずかしいため、さらなる研究が進められています。
人間への影響に関する研究
人間に対する一部の研究では、パルスイートの成分が腫瘍形成に関連する可能性を示唆しました。一方で、他の研究では過剰摂取しない限りはリスクが低いとしています。
パルスイートの使用に関する明確な結論はまだ出ていないものの、世界保健機構WHOは日常的に摂取している人へは摂取量を減らすよう呼び掛けています。
各国の規制と基準
各国では、パルスイートに対し規制や基準が設けられています。
たとえばアメリカ食品医薬品局(FDA)は、アスパルテームの使用を安全と認めていますが、摂取量に関するガイドラインを設置。欧州連合(EU)では、パルスイートの成分に関する厳しい規制が設けられ、安全性評価を定期的におこなっています。
日本では人工甘味料の摂取量許容量が定められており、規制を設けた添加物としています。
食品添加物専門家会議では、アスパルテームの許容一日摂取量(ADI:ヒトが一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと考えられる1日当たりの摂取量)については1日当たり・体重1キログラム当たり40ミリグラムと、これまで通りの値が適切であることを確認した。
引用元:農畜産業振興機構
パルスイートの健康への影響
パルスイートは低カロリーである一方で、体に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。以下では、消化器系や代謝への影響、そして長期的な使用によるリスクについて詳しく見ていきます。
消化器系への影響
パルスイートの摂取は、消化器系に様々な影響を与えることがあります。一部の人々は、人工甘味料が腸内細菌のバランスを崩し、消化不良やガスの発生を引き起こすと感じています。
また、過剰摂取によって腹痛や下痢を引き起こすことも報告されています。これらの症状は、パルスイートに含まれる化学物質が腸内環境に影響を及ぼすことが原因とされています。
代謝への影響
パルスイートの成分が代謝に与える影響についても研究が進んでいます。一部の研究で、人工甘味料がインスリンの分泌に影響を与える可能性が指摘されているからです。
糖尿病の予防や管理に多用されているパルスイートですが、頻繁な摂取は血糖値の変動を引き起こす可能性があるとされています。摂取量に注意が必要なのは砂糖と同じですね。
長期的な使用によるリスク
パルスイートの長期的な摂取が健康に与える影響についてもはっきりとした結論は出ていません。長期間の使用が健康リスクを高める可能性があるため、適量を守るべきです。
特に、子どもや妊娠中の女性はパルスイートの摂取を控えることが推奨されているため、慎重に検討しましょう。
安全な用量基準がもうけられてはいるものの、人工甘味料はまだまだ不透明な部分が多いのが現状です。研究の進展によってはその基準も変わることがあるかもしれません。
パルスイートに代わる甘味料
パルスイートに心配や不安が残る方は、他の天然甘味料や低カロリー甘味料を選ぶことができます。
以下では、天然甘味料や低カロリーの選択肢、砂糖を控える食生活の工夫について紹介します。
からだに優しい天然甘味料一覧表
天然甘味料は、自然から抽出された成分を含む甘味料を指します。
代表的なものには、ステビア、アガベシロップ、ハチミツなどがあり、人工甘味料に比べて体に優しいとされています。
種類 | 原料 | カロリー/1g | 甘さ | GI値 |
---|---|---|---|---|
ステビア | キク科ステビア属ステビア | 4kcal | 砂糖の200倍 | 0 |
アガベ シロップ | リュウゼツラン科アガベ属ブルーアガベ | 3kcal | 砂糖の1.5倍 | 20 |
メープル シロップ | サトウカエデ樹液 | 2.5kcal | 砂糖の4分の1 | 70 |
はちみつ | ミツバチが集めた花の蜜 | 2.9kcal | 砂糖の1.3倍 | 70 |
エリス リトール | ブドウ糖を発酵させる | 0kcal | 砂糖の3分の2 | 0 |
キシリ トール | 白樺や樫の木から採れる糖分 | 3kcal | 砂糖と同等程度 | 7 |
ステビアやエリスリトールはGI値ゼロであることから、血糖値の急激に上昇させないので脂肪を溜め込みにくくすることができます。ダイエットや血糖値の管理を目的にパルスイートを検討している方は、ステビアやエリスリトールもぜひ選択肢に入れてみて下さい。
GI値70以上は高GI値とされ、はちみつやメープルシロップは高GI値に分類されます。栄養価が豊富なことから人気がありますが過度な摂取は控えましょう。
低カロリー甘味料|エリスリトール
体への影響を気にしつつ、カロリーも重視ししたい方には低カロリー甘味料があります。前項目の表にもあるように、エリスリトールは砂糖の約70%程度の甘味をもちながら、カロリーがゼロで血糖値への影響はごくわずかです。
ただし、過剰な摂取でお腹がゆるくなることがあるので、他の糖類と同じように適量を守ることが重要です。
砂糖を控える食生活の工夫
砂糖を控えるためには、食生活全体の見直しが必要です。まず、加工食品や清涼飲料水に含まれる果糖ブドウ糖液等などの隠れた糖分に注意しましょう。特に清涼飲料水は冷やすことで甘みを感じにくくことから多量の人工甘味料が使われています。
成分表示をよく確認し、糖類(炭水化物)の数値に着目してみてください。
また、自炊の際には砂糖の代わりに天然甘味料や低カロリー甘味料を活用することで、健康な体型や血糖値への改善に繋がります。
まとめ
パルスイートは便利な人工甘味料であるとともに、不透明性が高く、発がん性リスクが懸念され脂肪を減らす効果はありません。
一方で体にやさしい天然甘味料や低カロリー甘味料は健康的な食生活を維持することが可能です。
しかし、使用量や頻度を守らなければならないのは両方に言えます。
この記事を通じて、パルスイートのデメリットや代替品について理解し、安全な甘味料の選択に役立てると幸いです。
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