「NMNの数十倍の効果がある」と話題になった成分『5-デアザフラビン』。
一方で「怪しい」「詐欺っぽい」といった声も多く、実際に検索してみると不安になる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、5-デアザフラビン(TND1128)とは何か?という基本から、なぜ“怪しい”とされるのか、そして科学的な効果・リスク・安全性の実態まで、最新の情報をもとに中立的な立場でわかりやすく解説します。
「信じていいの?」「副作用はないの?」と疑問を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
5-デアザフラビンとは?基本情報と開発背景
5‑デアザフラビンは、ビタミンB₂に似た構造を持つ人工誘導体で、近年「ポストNMN」として注目されている成分です。
東京薬科大学や崇城大学などの研究機関によって開発され、TND1128という名称で特許化・サプリメント化されています。細胞エネルギー産生や抗酸化作用への関与が期待されており、国内外で基礎研究が進められています。
- ビタミンB2構造を持つ人工誘導体
- 開発元(崇城大学・東京薬科大学)と特許情報
- TND1128としての商業展開
項目 | 内容 |
---|---|
構造 | ビタミンB₂に似た人工誘導体(5‑位に炭素) |
開発研究 | 東京薬科大学、崇城大学、スウェーデン公的機関 |
特許 | 第6717989号(化学構造/用途)、第6842091号(ナノ化技術) |
商業製品 | デアザフラビン ハイドロハイパー(ナノ化TND1128、30mg粒) |
エビデンス | 海馬神経形態改善、ミトコンドリア膜電位維持、酸化ストレス保護(動物・細胞実験) |
ビタミンB₂類似の人工誘導体:構造と分類
5‑デアザフラビン(TND1128)は、ビタミンB₂(リボフラビン)の分子構造に類似しながら、5位の窒素を炭素に置換した人工誘導体です。この構造により、NAD⁺やFADに類似した赤酸化還元(レドックス)活性を持ち、ミトコンドリアのATP産生やサーチュイン遺伝子活性化に関与するとされています
開発元と特許情報
東京薬科大学の工藤佳久名誉教授、および崇城大学の永松朝文特任教授らによって研究開発が進められてきました。また、スウェーデンの公的研究機関でも注目されています。
特許取得
- 第6717989号:5‑デアザフラビンの化学構造・用途に関する特許
- 第6842091号:ナノ化・浸透吸収技術(ナノコートによる吸収向上)に関する特許
5‑デアザフラビン配合サプリを販売するSIRTUP(サーチュアップ)の公式サイトでは、5‑デアザフラビンに関する特許情報(第6717989号・第6842091号)や、安全性試験・品質管理体制について詳しく説明されています。ナノ化加工や第三者機関によるテスト内容に関心がある方は、一度目を通してみると参考になるでしょう。
学術的エビデンス(基礎研究を見る)
BBRC掲載論文(2021年6月)「ラットの海馬ニューロンにおける5-デアザフラビン誘導体の神経発達と形態への影響」
結論:TND1128は、記憶や思考に関わる脳の神経細胞の“育ち”を促進する可能性がある成分といえる。
この研究では、ラットの「海馬」と呼ばれる記憶や学習に関係する脳部位の神経細胞に、TND1128(5-デアザフラビン)を与えて、どのような変化があるかを調べられました。
結果として、神経の成長(突起の伸びや分岐の数)が明らかに増加し、細胞の形や発達に良い影響が見られたという報告です。
“TND1128 significantly promoted neurite outgrowth and branching in cultured hippocampal neurons.”
(TND1128は培養された海馬ニューロンにおいて、神経突起の伸長および分岐を有意に促進した)
“These results suggest that 5-deazaflavin derivatives may have potential as neurotrophic factors.”
(これらの結果は、5-デアザフラビン誘導体が神経栄養因子としての可能性を持つことを示唆している)
引用元:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1347861324000677
PubMed掲載「ミトコンドリア活性化物質としての自己還元能を持つ5-デアザフラビン誘導体TND1128のマウス脳切片への効果とβ-NMNとの比較」
結論:TND1128は、エネルギー不足や疲れやすさを感じる体を“内側から元気にする”成分として注目されていると解釈可能。
この研究では、TND1128(5-デアザフラビン誘導体)が「ミトコンドリアの機能」に与える影響を、マウスの脳切片(神経組織)を使って検証しています。主な目的は、エネルギー産生のカギであるATPを作り出す力をどれだけ高めるかを見ることです。
“TND1128 increased mitochondrial membrane potential and ATP production in mouse brain slices more effectively than β-NMN.”
(TND1128は、ミトコンドリア膜電位とATP産生を、β-NMNよりも高い効果で増加させた)
“These results suggest that TND1128 can act as a potent mitochondria activator with self-redox activity.”
(この結果は、TND1128が自己還元能を持つ強力なミトコンドリア活性化因子である可能性を示唆している)
引用元:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36707184/
ResearchGate「5-デアザフラビン(TND1128)およびその誘導体は、過酸化水素による酸化ストレスに対して細胞を保護する」
結論:TND1128は、細胞の酸化ダメージを軽減し、“若さを保つ力”をサポートする成分として期待されているということです。
この研究では、酸化ストレスの代表的な原因である過酸化水素(H₂O₂)によって損傷を受けた細胞に対して、TND1128がどのような保護効果を持つかを調べています。
過酸化水素は、老化や生活習慣病の一因とも言われる活性酸素の一種です。
この物質によってダメージを受けた細胞にTND1128を投与したところ、生存率が回復したという結果が示されました。
“TND1128 and its hybrid analogs significantly suppressed H₂O₂-induced cell death and restored mitochondrial function.”
(TND1128およびその誘導体は、H₂O₂によって引き起こされた細胞死を有意に抑制し、ミトコンドリア機能を回復させた)
“These findings suggest a potential role of 5-deazaflavin as a cytoprotective agent against oxidative stress.”
(これらの結果は、5-デアザフラビンが酸化ストレスから細胞を守る作用(細胞保護作用)を持つ可能性を示唆している)
引用元:https://www.researchgate.net/
「怪しい」と言われる理由|3つの疑問点
5-デアザフラビン(TND1128)は注目を集める一方で、「怪しい」と感じている人が一定数いるのも事実です。その背景には、主に次の3つの懸念点があります。
- 誇大広告の疑い:NMNの数十倍などの表現
- ヒト臨床データの不足:マウス実験止まりの現状
- 薬機法や景表法違反の懸念:広告と実態の乖離
誇大広告の疑い:NMNの数十倍などの表現
一部の広告では「NMNの数十倍の効果」「最強のNAD+ブースター」などの刺激的な表現が見られます。しかし、これらの文言は科学的に明確な比較データがないまま使用されていることが多く、根拠に乏しいと指摘されています。こうした誇大表現は、誤解を招きやすく「怪しい」と感じる原因のひとつです。
ヒト臨床データの不足:マウス実験止まりの現状
現在確認できる研究は、マウスや細胞を使った基礎研究が中心で、人間を対象とした臨床試験のデータは公開されていません。動物実験で効果が見られても、ヒトでも同じ効果が得られるとは限らないため、慎重な判断が求められます。
薬機法や景表法違反の懸念:広告と実態の乖離
サプリメントであるにもかかわらず、「治療効果があるように受け取れる表現」や「明らかな誤認を招く効果効能表示」が見られるケースもあり、薬機法や景品表示法に抵触する可能性が指摘されています。特に通販サイトやSNS広告での表現には注意が必要です。
科学的根拠はある?主な研究と限界
5-デアザフラビン(TND1128)は、近年登場した注目の成分ですが、その効果については主に基礎研究レベルでの報告にとどまっています。以下では、これまでに明らかになっている主な科学的エビデンスと、現時点での課題について解説します。
- SIRT活性やNAD⁺生成に関する基礎研究の内容(培養細胞実験)
- マウスなどを用いた動物実験の成果(神経成長・ミトコンドリア・ATP・酸化ストレスなど)
- ヒト臨床試験はまだ報告されていないことへの注意喚起
SIRT活性・NAD+生成の基礎実験
TND1128は、サーチュイン(SIRT)活性化※やNAD+産生※の促進が期待される成分です。
培養細胞を用いた実験では、ミトコンドリアの機能をサポートし、細胞のエネルギー代謝や抗酸化力に良い影響を与えることが報告されています。これにより、老化予防や疲労軽減への応用が期待されています。
※「SIRT活性化」はアンチエイジングの分野で注目される作用です。
※「NAD⁺産生」はNMNやNRと同じ機構に関わるため、比較対象に使えます。
動物実験(マウス・培養細胞)レベルでの報告
マウスの脳切片やラットの神経細胞を用いた複数の研究では、TND1128が神経細胞の突起伸長や分岐を促進したり、ミトコンドリア膜電位の維持やATP合成を高めたりする効果※が確認されています。
また、酸化ストレスによる細胞死に対しても防御的に働き、細胞の生存率を改善するデータも得られています。
※細胞のエネルギー工場である「ミトコンドリア」が元気に働き続けられるようにサポートし、体のエネルギー(=ATP)を効率よく生み出せる状態にしてくれるということです。
ヒト対象研究は現時点で見当たらない
一方で、現時点ではヒトを対象とした臨床試験の報告は確認されていません。
つまり、動物や細胞レベルで効果が示唆されているものの、実際の人間で同様の効果が得られるかどうかはまだ明らかではありません。新しい成分である以上、今後の研究とエビデンスの蓄積が必要です。
口コミと評判から見る実際の使用感はどう?
5-デアザフラビン(TND1128)を実際に試した人の声には、良い感想もあれば、効果を実感できなかったという意見も見られます。ここでは、口コミやレビューをもとに、リアルな使用感を紹介します。
ポジティブな口コミ:元気が出る/睡眠の質向上
多くの愛用者からは「朝の目覚めがすっきりした」「疲れにくくなった」「仕事の集中力が続くようになった」など、エネルギー面での改善を感じる声が挙がっています。
中には「眠りが深くなった」「寝つきが良くなった」といった、眠りに関する内容を口コミする人もいます。
ネガティブな声:頭痛/だるさ/効果実感なし
一方で、「飲んだ後に頭痛がした」「体が重く感じた」「特に変化を感じなかった」という声も少なからず見られます。
これらは明確な副作用とは言い切れませんが、体質による反応や、成分の効き方の個人差があると考えられます。
芸能人やサロンによる紹介例の信頼性
インスタグラムや美容サロンのブログなどで紹介されているケースも多く見られますが、宣伝目的やアフィリエイト案件の可能性があるため、情報の受け取り方には注意が必要です。
購入前は、体験談の裏付け(どのくらい継続したか・他に併用していたものがあるかなど)を確認し、あくまで「参考のひとつ」として捉えるのが賢明です。
類似成分との比較|NMNやレスベラトロールとどう違う?
成分 | 主な働き | 実績 | 価格帯 |
---|---|---|---|
5-デアザフラビン | NAD+生成・SIRT活性 | マウス研究のみ | 高い |
NMN | NAD+生成 | ヒト臨床あり | やや高 |
レスベラトロール | 抗酸化・SIRT活性 | 長年の研究実績 | 中 |
TND1128と他の抗酸化成分の比較一覧
TND1128(5-デアザフラビン)は「抗酸化作用がある」と言われていますが、実際にはビタミンCやレスベラトロールなど、他にも多くの抗酸化成分が存在します。では、TND1128はそれらとどう違うのでしょうか?
以下の表では、代表的な抗酸化成分とTND1128を比較し、それぞれの特徴や働きの違いをわかりやすく整理しました。
成分名 | 主な働き | 特徴 | 科学的エビデンス | TND1128との違い |
---|---|---|---|---|
TND1128 (5-デアザフラビン) | ミトコンドリア活性化/ATP産生促進/酸化ストレス保護 | 自己還元型、 細胞内部からの活性 | ミトコンドリア膜電位回復 /神経細胞の成長促進などの 基礎研究あり | 抗酸化だけでなく、エネルギー代謝や神経成長にも関与 |
ビタミンC (アスコルビン酸) | 活性酸素の中和/免疫サポート/肌のコラーゲン生成 | 水溶性で即効性が高いが、 体内滞在時間は短い | 多数の臨床データあり | 即効型の抗酸化だが、ミトコンドリア活性への直接作用はない |
レスベラ トロール | 抗酸化/抗炎症/サーチュイン遺伝子活性化(長寿遺伝子) | 赤ワイン由来ポリフェノール /長寿研究で注目 | ヒト試験では 効果に個人差あり | 長寿遺伝子に作用するが、ATP直接生成には関与しない |
グルタチオン | 細胞内の酸化還元バランス維持/解毒サポート | 体内でも合成される三ペプチド /肝機能サポートで有名 | 注射・点滴など 医療現場でも使用 | 内因性の抗酸化ネットワークの中心/TND1128は外部活性型 |
コエンザイムQ10 (CoQ10) | ミトコンドリア補酵素/ATP合成サポート | 心臓や筋肉の健康に重要 /加齢で減少 | ヒト試験も多数あり /サプリ普及率高 | TND1128と同様にエネルギー産生に関与だが、還元型と違い補酵素型 |
このように比較すると、TND1128は単なる「活性酸素の除去」にとどまらず、ミトコンドリアの活性化やATP産生の促進、さらには神経細胞の発達支援まで担う多機能型の成分であることがわかります。
従来の抗酸化サプリでは得られなかった「内側からエネルギーを生み出す力」をサポートできる点で、TND1128は注目されているのです。
副作用・リスクはある?安全性について
- 明確な副作用報告は少ないが、過剰摂取の不安も
- 頭痛・吐き気・眠気の報告あり
- 医師の判断なしに高用量摂取は避けるべき
5-デアザフラビン(TND1128)は、現時点では大きな健康被害の報告は見当たりませんが、いくつか注意すべき点もあります。新しい成分である以上、リスクを正しく理解しておくことが大切です。
明確な副作用報告は少ないが、過剰摂取の不安も
5-デアザフラビンは基本的に安全性の高い成分とされていますが、まだ十分なヒト試験が行われていないため、長期間・高用量での影響は不明な点が多いのが実情です。特に体質や既往歴によっては、過剰摂取による思わぬ不調が出る可能性もゼロではありません。
たとえば、類似の成分であるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)も、当初は“副作用なし”とされていましたが、実際に高用量を摂取した一部のユーザーからは「頭痛」「ほてり」「動悸」「不眠」などの症状が報告されるようになりました。
同様に、TND1128についても少数ながら「眠気が強くなった」「胃が重く感じた」「だるさが続いた」といった体感の変化が投稿されており、人によっては“効きすぎる”可能性や、体質との相性の問題も考えられます。
これらの症状は、医薬品のような明確な副作用とは異なりますが、「まだ十分にデータが揃っていない新成分」であるという点を考慮すると、念のため少量から試す・体調を見ながら調整するといった慎重な姿勢が望ましいでしょう。
頭痛・吐き気・眠気の報告あり
一部のユーザーからは、頭痛・吐き気・眠気などの軽度な不調を感じたという声もあります。
これらは明確な副作用と断定されてはいないものの、摂取後に体調に変化があった場合はすぐに使用を中止し、医師に相談するのが安心です。
医師の判断なしに高用量摂取は避けるべき
市販のサプリメントであっても、成分によっては体内で薬のように作用する場合があります。
特に持病のある方や薬を服用している方は、医師や薬剤師に相談せずに高用量を摂取するのは避けるべきです。健康維持のために使うサプリこそ、安全性の確認が重要です。
専門家コメント|“怪しい”と感じたら確認したい3つの視点
新しいサプリメントや話題の成分に出会ったとき、「ちょっと怪しいかも…」と感じたときは、以下の3つの視点を意識して情報をチェックすると、冷静で的確な判断がしやすくなります。
効果の裏付け(論文・臨床データ)
本当に信頼できる成分かどうかは、科学的な裏付けがあるかで大きく変わります。
論文でどんな研究がされているか?動物実験か、ヒトでの臨床試験か?
このようなエビデンスがあるかどうかを確認しましょう。広告の表現だけではなく、出典のある情報があるかが重要です。
販売元・製造元の透明性
誰が作っているのか、どんな会社が販売しているのかも大切なチェックポイントです。
GMP認定工場で製造されているか?安全性の検査は行われているか?
販売者が信頼できる情報を開示しているかを確認することで、製品の信頼性も見えてきます。
価格と期待値のバランス
「高い=効く」とは限りません。
価格に見合った効果が期待できるか?類似製品との比較で割高ではないか?
過度に高価であったり、効果が保証されていないのに“最先端”“奇跡”などの表現で高額販売されている商品は、慎重に見極めるべきです。
まとめ|5-デアザフラビンは買うべきか?
- まだ研究段階の新素材であり、信頼性に課題あり
- 試してみるなら、リスクと期待を正しく把握すること
- 医師・専門家の監修やエビデンス重視の製品を選ぼう
5-デアザフラビン(TND1128)は、ミトコンドリアの活性化や抗酸化作用、神経細胞の保護といった働きが基礎研究で示されており、今後の可能性に注目が集まる新素材です。
しかし、現時点ではヒトを対象とした臨床試験がなく、あくまで「研究段階の成分」であることは理解しておくべきポイントです。
気になる方は、まずは信頼できる販売元の製品を少量から試す、あるいは医師や薬剤師に相談した上で使用することをおすすめします。
「すぐに効果がある」などの派手な宣伝文句だけに惑わされず、科学的根拠や自分の体質に合うかどうかを冷静に見極めることが大切です。
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