近年、少子高齢化や都市部への人口集中、家族関係の変化に伴い、無縁墓が増加しています。無縁墓とは、承継者がいないために管理されなくなった墓のことで、放置されるとさまざまな問題を引き起こします。
この記事では、無縁墓の定義やその背景、無縁墓になることで発生する具体的なトラブルについて解説します。また、無縁墓を防ぐための対策も紹介してますので、ぜひ参考にしてみてください。
無縁墓とは?無縁墓になる理由とその背景
無縁墓とは、通常、墓の承継者がいなくなり、管理されなくなった墓地のことを指します。墓地の維持管理は、親族や承継者が行うことが一般的ですが、承継者がいない場合や、連絡が取れない場合には無縁墓とされることが多いです。
無縁墓になると、墓地の管理費が未払いとなり、墓石が荒廃することがあります。さらに、墓地を管理する側にとっても問題であり、無縁墓の増加が地域社会にも悪影響を及ぼすケースが増えています。
- 少子高齢化による承継者不足
- 都市部への人口集中と地方の過疎化
- 核家族化と家族関係の希薄化
少子高齢化による承継者不足
日本は少子高齢化が進行しており、墓を引き継ぐ承継者がいなくなるケースが増えています。特に独身者が増加している現代では、亡くなった後に墓を管理する人がいないという問題が深刻化しています。
また、子どもがいても、親と疎遠になっているケースや、遠方に住んでいるケースでは、墓の管理が難しくなります。このような理由から、無縁墓になるリスクが高まっています。
都市部への人口集中と地方の過疎化
都市部への人口集中も無縁墓が増加する原因の一つです。地方にある実家の墓を管理できない人が増えており、結果的に無縁墓となってしまうケースが増加しています。
地方では人口減少が進んでおり、墓地の管理をする人材も不足しています。これにより、地方の墓地で無縁墓が増え、荒廃する墓が増えるという悪循環が生まれています。
核家族化と家族関係の希薄化
現代の日本社会では、核家族化が進んでいます。親と子どもが同居しないケースが多くなり、親が亡くなった後に墓を管理する人がいなくなることが多くなっています。
さらに、親族間での関係が希薄になることで、墓の存在を知らない、あるいは墓の管理をしたくないという人も増えてきています。これが無縁墓増加の一因となっています。
無縁墓になるとどうなるのか?お骨の行方など具体的な問題
無縁墓になると、墓地が荒れ果てたり、行政による整理が行われることがあります。具体的にはどのような問題が生じるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
- 墓地の荒廃が置き墓地管理者が困る
- 行政によって無縁墓の整理と改葬がおこなわれる
- 遺骨の合祀や永代供養への移行される
墓地の荒廃が置き墓地管理者が困る
無縁墓は管理者がいないため、次第に墓石が倒れたり雑草が生い茂ったりと、墓地が荒廃してしまいます。これにより、周囲の墓にも悪影響を及ぼすことがあり、墓地全体の景観が損なわれることもあります。
墓地の管理者としても、無縁墓が増えることで管理コストが増加し、他の利用者にも迷惑がかかる場合があります。このような問題があるため、自治体や墓地管理者は無縁墓の整理を進めることが増えています。
行政によって無縁墓の整理と改葬がおこなわれる
無縁墓が放置されていると、一定の期間が経過した後に行政が介入し、墓の整理や改葬がおこなわれることがあります。これは墓地の環境を保つための措置であり、法律に基づいておこなわれます。
改葬される場合、墓石は撤去され、お骨は合祀墓に移されることが一般的です。合祀とは、複数の遺骨を一つの場所にまとめて供養することを指します。
遺骨の合祀や永代供養への移行される
無縁墓になった場合、遺骨は合祀墓や永代供養墓に移されることがあります。永代供養とは、承継者がいなくても供養を続ける方式で、特に無縁仏となった遺骨に対して用いられます。
このように、無縁墓になると元の墓石が撤去されるだけでなく、遺骨も他の遺骨とともに供養される形になるため、個別の墓としての役割が失われることが多いです。
無縁墓にならないためにできる対策とは?
無縁墓を避けるためには、定期的な管理費の支払いや承継者の決定が必要です。さらに、墓じまいの検討も効果的な対策といえます。
- 墓地管理料の定期的な支払い
- 家族間での墓の承継者の明確化
- 生前に墓じまいを検討する
墓地管理料の定期的な支払い
無縁墓になる原因の一つは、管理料が未払いになることです。定期的に管理料を支払うことで、墓地管理者に墓の管理が継続される意思が伝わり、無縁墓とされるリスクが減ります。
管理料の支払いは、家族や親族と話し合い、負担を分担する方法も考えられます。無縁墓を防ぐためには、こまめな支払いとコミュニケーションが大切です。
家族間での墓の承継者の明確化
無縁墓を避けるためには、誰が墓を承継するのかを事前に決めておくことが重要です。家族間で話し合い、承継者を明確にしておくことで、無縁墓になるリスクを軽減できます。
また、承継者が決まっていれば、管理費の支払いなどもスムーズに行えるため、墓の維持が容易になります。
生前に墓じまいを検討する
墓じまいとは、墓を整理して遺骨を他の供養方法に移すことです。無縁墓になる前に生前に墓じまいをおこなうことで、無縁墓のリスクを完全に排除できます。
墓じまいは家族にとっても負担軽減となるため、特に承継者がいない場合には有効な選択肢です。
無縁墓に関するトラブルの種類
無縁墓に関連するトラブルとしては、墓地管理者や寺院、親族間での問題が挙げられます。それぞれのトラブルについて詳しく解説します。
- 墓地管理者との契約解除問題
- 離檀料を巡る寺院とのトラブル
- 親族間での意見の相違によるトラブル
墓地管理者との契約解除問題
無縁墓になると、墓地管理者との契約を解除する必要が生じることがあります。しかし、契約解除には手続きが必要であり、トラブルに発展することも少なくありません。
契約解除の手続きが円滑に進まない場合、墓地が放置され、さらに問題が拡大する恐れもあります。
離檀料を巡る寺院とのトラブル
離檀料とは、墓を管理している寺院から離れる際に支払う費用のことです。無縁墓の整理をする際に、離檀料を巡ってトラブルが発生することがあります。
寺院側が離檀料を高額に設定するケースや、家族が離檀料の支払いを拒むケースがあり、問題が複雑化することがあります。
親族間での意見の相違によるトラブル
無縁墓を整理する際、親族間で意見が合わず、トラブルになることもあります。特に、墓じまいや供養方法について考え方が異なる場合、意見の対立が生じやすいです。
このようなトラブルを避けるためには、事前に話し合いを重ねておくことが重要です。
無縁墓を避けるための方法は墓じまい
無縁墓を防ぐための最も効果的な方法は墓じまいをすることです。
墓じまいは、既存の墓を撤去して遺骨を別の場所に移すこと。墓じまいをすることで、別の方法で遺骨を管理するという目的があります。
墓じまいをするためには墓地管理者の許可を得たり、改葬許可証を取得するなどの必要があり、その行程は複雑なため墓じまい代行業者に依頼することが推奨されます。もちろん自分でも墓じまいをおこなえますが、時間や手間をかけたくない方は墓じまい代行業者の利用がおすすめです。
無縁墓でよくある質問
無縁墓に関してよく寄せられる質問について、以下で回答します。無縁墓に関する不安や疑問を解消するために役立ててください。
- 無縁墓の改葬費用は誰が負担するのか?
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無縁墓の改葬費用は、基本的には遺族が負担します。しかし、遺族がいない場合や負担を拒否する場合には、行政が対応することもありますが、その費用は税金から捻出されることになります。
- 無縁墓になった場合、遺族はどのように対応すべきか?
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無縁墓になった場合、まずは墓地管理者に相談し、整理や墓じまいの手続きを進めることが重要です。また、供養方法や費用についても話し合いを行い、適切な対応を検討する必要があります。
- 無縁墓を防ぐにはどうすれば良いですか?
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定期的にお墓参りをし、墓地管理料を支払うことが重要です。また、生前に墓じまいや永代供養墓への移行を検討することで、無縁墓になるリスクを軽減できます。
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