TPE(熱可塑性エラストマー)の特徴とその違いを徹底解説

TPE 熱可塑性エラストマー

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熱可塑性エラストマーは、ゴムのような柔軟性と耐久性を持ちながらも、加工のしやすさやリサイクルの容易さなどの特性を兼ね備えた素材です。

この記事では、熱可塑性エラストマーの基本的な特徴や、ゴムとの違いについて詳しく解説します。また、さまざまな用途やメリットについても触れ、どのような場面で最適な素材なのかを見ていきましょう。

目次

熱可塑性エラストマーとは?その基本的な特徴を解説

熱可塑性エラストマーは、加熱によって柔らかくなり、冷却によって硬化する特性を持つ素材です。その柔軟性や耐衝撃性に加え、加工が簡単である点が特徴です。特に、再加熱が可能なため、リサイクルや再利用がしやすいという利点があります。

熱可塑性とエラストマーの違い

「熱可塑性」とは、材料が加熱されると柔らかくなり、冷却すると硬くなる特性を指します。一方、「エラストマー」はゴムのような弾性を持つ素材の総称です。熱可塑性エラストマーは、これら2つの特性を兼ね備えた材料で、温度によって形状が変化するという特徴があります。

通常のゴム材料は、化学的に加硫され、成形後の形状が固定されますが、熱可塑性エラストマーは加熱によって再び柔らかくなり、再成形が可能です。これにより、加工の柔軟性が高まり、さまざまな用途に適しています。

加熱による可塑性と冷却による硬化

熱可塑性エラストマーの大きな特徴のひとつは、加熱によって簡単に形を変えることができる点です。これにより、射出成形や押出成形など、さまざまな加工方法が可能になります。一度成形した後でも再加熱すれば再び柔らかくなるため、再利用も簡単です。

冷却すると硬化し、所定の形状を維持しますが、再度加熱することで新しい形状に変更することができるため、リサイクル性が高く、環境に優しい素材といえます。

柔軟性と耐衝撃性の特徴

熱可塑性エラストマーは、ゴムのような柔軟性と優れた耐衝撃性を持っています。これにより、強い衝撃を受けても破損しにくく、長期間にわたって耐久性を発揮します。この特性は、特に自動車部品やスポーツ用品、電子機器など、耐衝撃性が求められる分野での利用が広がっています。

また、エラストマーの柔軟性は、曲げや引っ張りに対しても高い耐久性を示すため、ゴムの代替材料としてさまざまな製品に使用されています。ゴムと同様の性能を持ちながらも、加工やリサイクルの面で有利な点が評価されています。

ゴムとの違い:熱可塑性エラストマーの加工方法の違い

ゴムと熱可塑性エラストマーは、見た目や触感が似ているものの、加工方法には大きな違いがあります。特に、加硫工程の有無やリサイクルの容易さなど、熱可塑性エラストマーが持つ特有のメリットがあります。

射出成形が可能

熱可塑性エラストマーは、射出成形という方法で簡単に成形することが可能です。これは、材料を加熱して溶かし、型に流し込んで成形するプロセスです。ゴムの場合は、化学的に加硫されて硬化するため、成形後に再加工することが難しいですが、熱可塑性エラストマーは加熱して再度柔らかくすることができるため、リサイクルや再利用がしやすいという特徴があります。

この射出成形の特性により、複雑な形状を一度に成形することができ、生産効率が高くなります。また、部品の一貫性が確保され、コスト削減にもつながるため、さまざまな業界で重宝されています。

リサイクルのしやすさ

熱可塑性エラストマーは、リサイクルが容易な材料です。ゴム製品は化学的な加硫プロセスを経ているため、再利用が困難であることが多いですが、熱可塑性エラストマーは加熱することで再成形が可能です。これにより、製品の廃棄を最小限に抑え、環境に優しい素材として注目されています。

特に、製造過程で発生する廃材や、不良品なども再び溶かして新たな製品として生まれ変わることができるため、持続可能な資源の利用が可能です。この点が、ゴムと比べて大きな利点となっています。

加硫工程が不要

通常のゴム製品は、加硫工程という化学的プロセスを経て、弾性や耐久性が強化されます。しかし、この加硫工程には時間とコストがかかり、リサイクルが難しくなる要因にもなっています。一方、熱可塑性エラストマーは、この加硫工程が不要であり、加熱と冷却だけで成形できるため、加工の迅速さがメリットとなります。

加硫が不要であることから、製造工程がシンプルで、製造コストの削減や生産時間の短縮が可能になります。また、環境への負荷も軽減されるため、持続可能な素材としても評価されています。

熱可塑性エラストマーとゴムの弾性と耐久性の違い

熱可塑性エラストマーとゴムは、どちらも弾性を持つ素材ですが、その性質や耐久性には違いがあります。それぞれの素材が持つ特徴を理解することで、用途に応じた適切な選択が可能となります。

ゴムの優れた弾性

ゴムは非常に優れた弾性を持つ素材です。特に天然ゴムは、高い伸縮性を誇り、引っ張られても元の形状に戻る性質が強く、長期間にわたってその弾性を保つことができます。このため、タイヤやベルトなど、耐久性が求められる製品に多く使用されています。

しかし、ゴムの弾性は温度や環境条件に大きく影響を受けることがあり、特定の条件下では劣化しやすいというデメリットもあります。特に、極端な高温や低温ではその弾性が損なわれる場合があり、使用環境に注意が必要です。

熱可塑性エラストマーの耐摩耗性

一方、熱可塑性エラストマーは、ゴムほどの弾性はないものの、耐摩耗性に優れています。摩擦が発生する環境でも長期間にわたって使用でき、劣化が少ないという利点があります。この特性から、摩耗が予想される部品や製品に多く使用されています。

また、ゴム製品に比べて耐化学薬品性が強いものもあり、過酷な環境での使用にも適しています。これにより、産業機器や工業製品など、耐久性が重視される分野での利用が増えています。

温度変化に対する性能差

ゴムと熱可塑性エラストマーは、温度変化に対する性能にも違いがあります。ゴムは極端な高温や低温で劣化しやすい一方で、熱可塑性エラストマーは温度変化に対して比較的安定した性能を発揮します。特に、寒冷地や高温環境での使用においては、熱可塑性エラストマーの方が適している場合があります。

また、熱可塑性エラストマーは、温度によって再成形が可能であるため、温度変化のある環境でも、柔軟に対応することができます。これにより、幅広い用途に応用が可能となっています。

熱可塑性エラストマーとゴムの用途の違い

熱可塑性エラストマーとゴムは、用途によって適切な選択が求められます。両者の特性を理解し、製品に最適な素材を選ぶことが重要です。ここでは、それぞれの主な用途について解説します。

自動車部品での使用

自動車部品では、耐久性や耐衝撃性が求められるため、熱可塑性エラストマーが広く利用されています。バンパーやダッシュボード、シートのクッション材など、多くの部品でこの素材が使われており、その優れた性能が発揮されています。

特に、リサイクルが容易である点が自動車業界で高く評価されており、環境負荷の低減にも貢献しています。これにより、持続可能な自動車部品の製造が可能となり、今後も需要が拡大することが予想されます。

医療機器での使用

医療機器においては、耐薬品性や耐久性が求められるため、熱可塑性エラストマーが多く使用されています。特に、滅菌が必要な製品や、患者との接触がある部分において、その柔軟性や安全性が重宝されています。

また、成形のしやすさや、使い捨て製品としての利用が可能である点から、注射器やカテーテル、人工呼吸器の部品など、多岐にわたる医療機器で使用されています。

日用品での使用

日用品にも、熱可塑性エラストマーが多く利用されています。柔軟性があり、耐衝撃性に優れているため、工具のグリップやスマートフォンケース、さらには子供用のおもちゃなど、さまざまな製品に採用されています。

また、リサイクルが容易なため、環境への配慮が求められる製品にも適しており、持続可能な製品開発に貢献しています。

寝具での使用

寝具にも使われることが増えてきました。柔軟性と衝撃吸収性に優れており、身体への負担を軽減できるような特性を持ちます。TPE素材を使用する枕は、ヒツジのいらない枕が代表的です。

熱可塑性エラストマーのメリット

熱可塑性エラストマーは、ゴムのような柔軟性を持ちながらも、加工のしやすさリサイクルの容易さなど、多くのメリットがあります。これにより、さまざまな産業分野での需要が高まっています。

また、加熱と冷却だけで簡単に成形が可能であるため、生産効率の向上やコスト削減にも寄与します。さらに、環境に優しい素材である点も、今後の持続可能な社会において重要なポイントとなるでしょう。

熱可塑性エラストマーのデメリット

熱可塑性エラストマー(TPE)には多くのメリットがある一方で、使用に際して考慮すべきデメリットもいくつかあります。用途や環境によっては、他の素材がより適している場合もありますので、TPEの特性を正しく理解することが重要です。

高温下での性能低下

熱可塑性エラストマーは、高温環境において性能が低下する場合があります。特に100度以上の高温環境では、ゴムと比較して弾性や耐久性が劣化しやすくなります。これは、TPEが熱により柔らかくなる特性を持つためであり、製品が熱によって形状を保てなくなるリスクがあります。

このため、高温環境下での使用が予想される用途、例えばエンジン周りや産業用機械など、極端な温度変化にさらされる場所では、TPEよりもシリコンゴムやEPDMなどの高温耐性に優れた素材が選ばれることが多いです。

耐油性や耐薬品性の弱さ

一部の熱可塑性エラストマーは、油や特定の化学薬品に対する耐性が低い場合があります。特に、エラストマーの種類によっては油や溶剤と接触することで劣化が進行し、ひび割れや硬化が発生することがあります。このため、油や薬品を多く扱う環境では、フッ素ゴム(FKM)やニトリルゴム(NBR)といった、耐油性・耐薬品性に優れた素材が優先されることがあります。

TPEは一般的に耐薬品性がそれほど強くないため、耐薬品性を重視する場面では注意が必要です。特に化学薬品や溶剤が頻繁に使用される工業用途においては、他の素材の方が適しています。

コストが高い場合がある

熱可塑性エラストマーは、その加工のしやすさやリサイクル可能な点が評価される一方で、初期コストが高くなる場合があります。特に、高性能なTPE素材は、標準的なゴムに比べて材料コストが高くなることがあり、大量生産においてはコストの面でデメリットとなることがあります。

また、複雑な製品設計や特殊な性能を要求される場合には、加工費用や技術的なコストが追加されることも考慮すべきです。特に、限られた予算で大量生産を行う場合、ゴムなどの既存素材と比較して費用対効果が十分であるかどうかを慎重に判断する必要があります。

ゴムほどの弾性を持たない場合がある

熱可塑性エラストマーは、ゴムのような弾性を持ちながらも、その弾性性能はゴムに比べるとやや劣る場合があります。特に、天然ゴムのような高い伸縮性を必要とする場面では、TPEの弾性が不十分と感じられることがあります。

これは、TPEが温度に依存する特性を持つため、低温では硬くなり、高温では柔らかくなりすぎることがあるからです。そのため、極端な温度条件や高い弾性が必要な用途では、TPEよりも従来のゴム素材が適している場合があります。

まとめ

熱可塑性エラストマーは、リサイクルのしやすさや加工の簡便さ、耐久性など多くのメリットを持つ素材です。しかし、高温環境や耐薬品性、初期コスト、弾性性能の面でいくつかのデメリットが存在するため、用途や環境に応じた適材適所の選択が重要です。

使用する環境や目的に応じて、熱可塑性エラストマーと他のゴム素材の違いを理解し、最適な材料を選ぶことが製品の品質と耐久性を保つための鍵となります。最終的な選択は、性能とコストのバランスを見極めた上で行うべきです。

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この記事を書いた人

【上級睡眠指導士782号】 身長175㎝/体重62㎏。睡眠の質を高める寝具の重要さに気づいて7年経つ寝具選びのプロ。腰痛にやさしいマットレスが特に好き。寝室はマットレスだらけです。

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