「RO膜」「活性炭」「中空糸膜」
ウォーターサーバーや浄水器のフィルターでよく聞く言葉ですが、それぞれどんな違いがあるのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
とくに近年では、水道水に含まれる可能性がある有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が注目され、どのフィルター方式がPFASを除去できるのかが重要な判断基準になりつつあります。
この記事では、RO膜・活性炭・中空糸膜の違いとそれぞれのPFAS除去能力について、専門家の視点からやさしく解説します。
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佐伯 彩乃
元ウォーターサーバー販売員/フリーランスの暮らしコーディネーター/主婦向けの家電アドバイザー
元ウォーターサーバー販売員で、現在は主婦向けに家電選びのコツを発信する暮らしアドバイザー。実体験をもとに、使いやすさや電気代、安全性までわかりやすく解説。押し売りしない丁寧な情報発信が好評。
RO膜・活性炭・中空糸膜とは?|それぞれの仕組みを簡単に解説
ウォーターサーバーや浄水器に使われる主なフィルターは、「RO膜(逆浸透膜)」「活性炭」「中空糸膜」の3つです。ここでは、それぞれの仕組みや特徴、ろ過できる物質の違いについてわかりやすく説明します。
表でサクッと確認
フィルター方式 | ろ過の仕組み | 除去粒子サイズ | 除去できる主な物質 | PFAS除去能力 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|---|---|
RO膜 (逆浸透膜) | 超微細な膜で物理的にろ過 | 約0.0001ミクロン | ウイルス、重金属、PFAS、農薬など | ◎ 高い(ほぼ完全に除去) | 非常に高精度なろ過が可能 | ミネラルも除去/コストが高い |
活性炭 フィルター | 表面の微細孔で吸着 | 非定量(吸着型) | 塩素、トリハロメタン、ニオイ、有機化合物など | △ 条件次第で除去可能 | 安価/広範囲な吸着能力 | PFAS除去には不安定/寿命が短い |
中空糸膜 フィルター | ストロー状の微細孔で物理的にろ過 | 約0.01ミクロン | 細菌、濁り、一部ウイルス | × 対応困難または除去できない | 細菌に強い/通水性が良い | 化学物質に弱い/PFAS除去不可 |
RO膜(逆浸透膜)
- 0.0001ミクロンの超微細ろ過
- PFASをほぼ100%除去可能
- 天然ミネラルも除去してしまうことがある
RO膜は、Reverse Osmosis(逆浸透)の略で、約0.0001ミクロンという超微細な孔を持つフィルターです。水に含まれる微粒子・ウイルス・重金属・PFASなどを物理的にろ過し、ほぼ純水に近いレベルの水を生成します。
PFASなどの有機フッ素化合物にも高い除去性能を発揮しますが、一方で天然のミネラル分も除去されてしまうため、「味が物足りない」と感じる方もいます。
活性炭フィルター
- 塩素・ニオイ・有機化合物を吸着除去
- PFAS除去率は構造によって大きく異なる
- 安価で多くの家庭用サーバーに採用
活性炭は、微細な多孔質構造を持ち、塩素・トリハロメタン・ニオイ成分・農薬などの有機化合物を吸着除去するのに優れています。
PFASのような化学物質も一部除去できますが、活性炭の粒子サイズ・種類・接触時間などによって除去能力に差があり、すべての製品で効果があるとは限りません。
中空糸膜フィルター
- 0.01ミクロン前後の物理的なろ過
- 細菌・一部ウイルス除去に有効
- PFAS除去は難しいことが多い
中空糸膜は、ストロー状の細長いフィルターで、約0.01ミクロンの細かさで細菌や一部ウイルスなどを物理的にブロックします。
ろ過の仕組みは優れているものの、PFASのような微小な化学物質を除去する力は弱いのが現状です。主に雑菌や濁り対策として使われています。
PFAS除去に強いのはどれ?フィルター別比較
では、3つのフィルター方式の中で、PFAS除去に最も適しているのはどれなのでしょうか? 除去粒子サイズ・仕組み・特徴を比較した表をもとに、それぞれの実力を見ていきましょう。
フィルター方式 | 除去粒子サイズ | PFAS除去 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
RO膜 | 約0.0001ミクロン | ◎ ほぼ完全 | 高精度・安全性が高い | コスト高・ミネラルも除去 |
活性炭 | 吸着型(サイズ依存なし) | △ 製品により差 | ニオイ・有機物に強い | 目詰まり・寿命が短め |
中空糸膜 | 約0.01ミクロン | × 対応不可または限定的 | 細菌・カビに効果 | 化学物質には弱い |
この表からわかるように、PFASをしっかり除去したい場合は、RO膜フィルターを採用した浄水器やウォーターサーバーを選ぶのが最も安心です。
活性炭は製品によってはある程度除去できるものもありますが、確実性を求めるならRO膜が最も信頼できます。中空糸膜は雑菌や濁りには効果がありますが、PFASには不向きです。
専門家コメント|どの方式を選ぶべきか?
活性炭も優れたフィルターですが、製品によって除去できる範囲にばらつきがあります。中空糸膜は細菌や濁りには有効ですが、PFASのような化学物質には向いていません。
どの水を飲むかは健康への投資。『家族の飲み水に安心を求める方』には、RO膜搭載モデルを自信をもっておすすめします。

佐伯 彩乃
元ウォーターサーバー販売員/フリーランスの暮らしコーディネーター/主婦向けの家電アドバイザー
「実際にお客様から『PFASって除去できるんですか?』と聞かれることが増えています。販売現場の経験から言っても、PFAS対策を第一に考えるなら、RO膜を搭載したサーバーが圧倒的に安心です。
まとめ|PFAS除去を重視するならRO膜搭載モデルを選ぼう
PFAS(有機フッ素化合物)は、近年その健康リスクが注目されている化学物質です。微量でも体内に蓄積する可能性があるため、飲み水の安全性にこだわるなら「除去性能の高いフィルター」を選ぶことが重要です。
本記事で紹介した3種類のフィルターのうち、もっともPFAS除去に優れているのはRO膜(逆浸透膜)です。活性炭フィルターも一部製品で対応していますが、確実性を求める方にはやや不安が残ります。中空糸膜は、あくまで細菌や濁りへの対策と考えるべきでしょう。
「家族の健康を守りたい」「将来のリスクを避けたい」という方は、RO膜を搭載した浄水型ウォーターサーバーの導入を検討してみてください。
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